自分を知るための最良の方法

「世の中にはいろんな人がいるなあ」って無意識に思っていても、自覚する機会ってなかなかないんですけど、この連載を読んでると、いろいろ気づかされます。なるほど、自分とマスクの関係性を考えるなんてねえ! そう言われると街行く人のマスクが気になってくる、連載第48回(毎週火曜日更新)です。みなさんはどんなマスクをしていますか?

サクちゃんへ

こんにちは。

最近調子はどうですか?
わたしはと言うと、花粉症に苦しんでいます。鼻水とくしゃみがひどい。そういえば、コロナの前にマスクをつけるなんて、風邪か花粉症のときしかなかったなぁと思い出しました。

日常的にマスクをつけるようになってから、そろそろ1年が経ちますね。
その間にいろんなメーカーさんがマスクを売り出すようになり、白いマスク以外もたくさん見かけるようになりました。おしゃれなマスクもいっぱい出ているし、マスクチャームというものもあるそうです。すっかり日常に浸透した証拠だなと思います。

そんな中、わたしは頑なに白マスクを貫き通しています。
なんでだろう、マスクというものが息苦しくて苦手だからかなぁ。一時的につけるものという認識を更新したくないのかもしれない。もしも受け入れてマスク生活を楽しんでしまったら、ずっとマスクをしなくちゃいけなくなりそうで。
自分の世界を侵されるのを嫌がる性格だからでしょうか。変化への適応が遅いのでしょうね。それでいて、カラフルなマスクをつけて、真っ先に新しいおしゃれを楽しんでいる人に憧れてもいます。

マスクの選び方、付け方で、その人の性格がわかるような気がしますね。
サクちゃんはどんなマスクをつけていますか?

ー・-・-

さて、前回のサクちゃんの日記は「ご自愛」についてでした。

「『自分を大事にする』とは、不快なものを取り除き、少しでも快適な状態にすること。そう考えると、具体的に何をすればいいかがわかるんじゃないかと思うのです」

この箇所を読んで、まさにそうだなと思いました。
「自分を愛する」って聞くと漠然としたように感じて難しいけれど、「不快なものを取り除き、少しでも快適な状態にする」となると、イメージが湧きやすくなりますね。

最近気がついたのですが、わたしはストレスが溜まってくると、物を整理して捨てようとする人間のようです。たとえば冷蔵庫の中、本棚や引き出しやクローゼットの中、パソコンのファルダの中身、インタビューのときに使うボイスレコーダーのデータ……そういったものを端から整理して、いらないものをどんどん捨てていく。すると気持ちがすっきりして、ストレスが解消されます。多分わたしの「不快」とは、物が散らかっていたり、いらないものを溜め込んだりしている状態なのでしょう。

でもこれまではそれに気づかなくて、ストレスが溜まっているから「ご自愛」しましょうと、新しい洋服や本や食材などを買いに行ってしまうことがよくありました。もちろん買い物自体は楽しいのですが、家に帰るとなんだかもっともやもやしてしまうのです。なぜかというと、「不快」な状態は解消されておらず、またさらに上乗せする形で物が増えてしまっているから。それに気づかなくて「これだけ買い物しても解消されないとは、よほど強いストレスなんだなぁ」と勘違いしてしまっていたなと思います。

今なら自分が「不快」な状態、「快適」な状態がよくわかります。いらないものを溜め込むことなく、大事にすべきものだけがある、シンプルな空間に身を置くこと。それがわたしの求める「ご自愛」なのだけど、それがわからないと雑誌やテレビで見た「ご自愛」グッズを買い込んで、ますますストレスを溜めてしまうのですよね。

サクちゃんの日記を読み、まずは自分の取り扱い説明書を正しく作成することだなぁと思いました。

ー・-・-

最近、クラフトビールのブリュワーさんにインタビューする機会が何度かありました。
わたしは根っからのビール党なのですが、クラフトビールはそんなに飲んだことがなかったんです。味の想像がつかないし、アルコール度数もバラバラ。「いつもと違う」「予測ができない」というのが、なんだか怖かったのですね。

でも、この間あるブリュワーさんと話したとき、「狙い通りの味ができたときがおもしろい」とおっしゃっていたんです。それを聞いて、なんだか感動してしまったんですよね。「作りたい味があるんだ!」って。ブリュワーや料理人にとっては当たり前かもしれないけれど、わたしはちょっとびっくりしてしまいました。

わたしにとってビールは「買うもの」でした。お酒を作ることが禁止されている国だから仕方ないことではあるのですが、ビールの味は選ぶものであって作るものじゃなかった。だから、「こういう味があったらいいな」なんて考えたことがなかった。彼の話を聞いたとき、そんなことを自覚したのでした。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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コメント

PcOihb めちゃくちゃ良い回だった………作るっていいよなー。 14日前 replyretweetfavorite