​何にもない人生の素晴らしさ

今回の「ワイングラスのむこう側」は、ついつい「我々の時代は〜」と語ってしまうことについて。体験していない話をしてしまったり、体験した中でもいいところばっかりを話してしまうものですが、「なんでもないこと」を話すことの大事さについて考えます。

ついつい語ってしまう経験していない思い出

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

先日、タクシーに乗っていたところ、国会議事堂の前でフォークギターを抱えて歌っている青年を見かけました。すると60代後半くらいかなって感じの運転手さんが、「私なんかのころは、西新宿にああいうフォークの人がいてね……」って語り始めたんです。

昔は飲み屋に行くと、こういうことを語る年輩の人ってすごくいました。僕たち若い世代に向かって、「昔の政治運動はすごかった。最近の若者はそういう気概がない」って語る上の世代の人って結構多かったんです。

でも、そのタクシーの運転手さん、よくよく話を聞いてみると、そういう政治運動には参加していなかったようなんです。よく言われることですが、あの1960年代後半の学生運動って、参加していた一部の人がすごく目立っていますが、無関心な人たちの方が多数派だったんですよね。

これもよく言われますが、そのタクシーの運転手さんのように、まるで自分は参加していたかのように語る人って結構います。その方は西新宿のフォークの集会を「チラッと」見かけただけで、別に参加していたわけではないんです。でも、タクシーの運転手をしながら、ついつい僕のような下の世代に、まるで参加していたかのように語ってしまうんです。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

haiirotom 何にもない人生の素晴らしさ|林伸次 @bar_bossa | 3ヶ月前 replyretweetfavorite

yamasaaaki_f 「今振り返ると、そういう「なんでもない時間」で自分が作られた気がします。「なんでもない時間」も同じように素晴らしいんです。」 何にもない人生の素晴らしさ|林伸次 @bar_bossa | 4ヶ月前 replyretweetfavorite

kuzen2016 https://t.co/6AICgNvSTr ふむ。たしかに。 5ヶ月前 replyretweetfavorite

hal_31 自分が楽しくてHAPPYなら、いい。明日すぐにスペイン語が話せなくても全然いい。変わらない日常、最高。 |林伸次 @bar_bossa |ワイングラスのむこう側 https://t.co/0hog3ipSu6 5ヶ月前 replyretweetfavorite