ネノオミの悪事が明るみに出る
雄略十四年四月一日、天皇は、呉人(くれひと)※1を饗応しようとして、臣下たちにそれぞれ、
「饗宴で賓客と食事を共にするのは誰がよいだろう」
と尋ねました。臣下たちは皆、
「ネノオミ(根使主)※2がいいでしょう」
と言いました。
天皇は、ネノオミに命じて、食事を共にさせる者に任じ、石上(いそのかみ)の高抜原(たかぬきはら)で、呉人を饗応しました。
そのとき、密かに舎人を遣わして、ネノオミの服装を点検させました。舎人は帰ってきて、
「ネノオミのつけている玉縵(たまかずら)の髪飾り※3は、大変立派で、ことのほか美しいものでした。また、まわりの大勢の人が、『以前、使者を迎えたときにも、同じ髪飾りをつけていた』と言っております」
と報告しました。
そこで天皇は、自らその髪飾りを見たいと思って、臣、連らに、呉人を饗応したときと同じ服装で、宮殿の前に来るように命じて、会いました。
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