ひきこもりを拉致・軟禁、保護者に高額請求
将来への不安に付け込み、はびこる悪徳引き出し業者
「ブタの丸焼きのような格好で連れていかれました」
30代女性のAさんは、恐怖と悔しさで震える声で訴えた。九州の実家で暮らしていたAさんの自室に、見知らぬ男女4人がやってきたのは、2018年12月のこと。彼らは引き戸式のドアを強引に取り外して侵入してきたという。
施設に入ることが決まっていると言う彼らに対し、Aさんは一貫して「行きません」と言い続けた。押し問答が続くこと半日。突然、男性の一人がAさんの両腕を、別の男性が足首をつかみ、宙吊り状態にして自宅前に横付けした車両に押し込んだ。その間、Aさんは「やめて! 触らないで!」と泣き叫び続けたという。
行き先は、東京の株式会社が熊本県内で運営する施設。実はAさんは、いったんは隙を見て施設を逃げ出し、パトカーに保護された。そこで、警察官に「無理やり連れてこられた」と訴えたが、暴力は振るわれていないとして、再び施設に戻されたという。
その後、Aさんは東京に移送され、ビルの一室で女性職員との同居を強いられた。室内には、風呂の脱衣スペースから見える所に、監視カメラが設置されていたほか、携帯電話や財布は没収され、自分宛ての手紙も勝手に開封された。
Aさんは3カ月後に脱走。この間の出来事を「不安と緊張で、もう死ぬしかないと思っていました。夜、タオルで自分の首を絞めたこともありました」と振り返る。
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