仕事中毒から本当に抜け出したいと思っているあなたへ

あなたの24時間はどこへ消えるのか――この連載では、仕事もプライベートも関係なく、今しかできないことをやる方法を伝授します。
今回のテーマは、なぜビジネス書やノウハウ本を読んでも、うまくいかないのか? 1月21日発売の『あなたの24時間はどこへ消えるのか』(SBクリエイティブ)からお届けします(毎週月・木曜日更新予定)。


「ごめんなさい、わたしなんかのために時間をもらって」

口を開けば「ごめんなさい」、それはまるでお決まりの挨拶のようなものでした。つい数年前まで、わたしはいつも誰かに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。上京してずいぶん時間を過ごしたはずなのに、いつまでたっても東京というハレ舞台に馴染めずにいました。

周りの人がみんな立派に見えて、いつまでたってもお洒落なカフェは入りづらくて、勇気を出して買った流行りの服はぜんぜん似合わなくて。どうしてか、どこにも居場所がないように思えて悶々(もんもん)とした大学時代を過ごしました。

ところが社会人になり、仕事を始めてからずいぶん気持ちがラクになりました。元気よく「はい」と返事をすると、いろんな人がすごく喜んでくれたから。

わたしはいつも寝不足で、夜遅くまでデスクに座ってコーヒーを流し込むのが日常でした。ちょっとの熱ぐらいだったら会社も休まず、有休も余り気味で、時には誰かの数合わせの飲み会に笑顔で参加しました。そして休日でもスマホから垂れ流される情報を余すコトなく受け取り、メッセージが届けば秒で返事をしました。そうしてずっとずっと、忙しい日々が続きました。

わたしは、いつも自分の時間をタイムセールしていました。

無意識の仕事中毒

わたしはこれまで、IT業界でデザインやサービス開発をメインに働いてきました。ITと聞くと一般的には「先進的な働き方」「フレックス」「副業OK」「有休も取りやすい」といった柔軟でポジティブな印象が多いかと思います。実際、わたし自身もさまざまな文化をもつ企業で働いてきました。

新卒で入社した会社では就業時間が決まっている一般的なタイプでしたし、前職である株式会社メルカリの子会社にあたる株式会社メルペイでは初めてのフレックス制度を経験しました。コアタイムと呼ばれる午後12時から16時の4時間以外は好きな時間に出社し、自分で勤務時間を調整するまさに現代らしい柔軟な働き方でした。
コロナ渦ではいち早くリモート勤務に取り組んだこともあり、大規模なチームでのリモート活用も経験させてもらいました。副業も歓迎な企業文化だったので、これまで本業以外にもさまざまなスタートアップやリアルビジネスを行っている企業と協業させていただきました。
現在は独立したので自分で事業を考えたり、会社員時代からお付き合いさせていただいている企業さんと一緒にサービスの運用改善、組織開発を行ったりしています。個人ではネットでの執筆や、YouTubeの配信など自分からの情報発信も行っています。また有休という概念もなくなったため、夏になれば趣味の登山に出かけ、冬はキャンプ場で焚火(たきび)に当たりながら読書を楽しむ。今は自宅が職場なので、平日にふらっと近所のコーヒーショップへ出かけたりすることもあります。

働くも休むも、自分次第。

今でこそこんなふうに自分に合うオンとオフのバランスが上手く取れるようになりましたが、もともとのわたしは典型的なワーカホリックでした。パソコンがあればどこでも働けてしまう仕事だからこそ際限なく成果を求め、いつ休んでいいのか徐々に分からなくなり、新卒で入社した会社では働き詰めの毎日でした。

当時のわたしはお願いされたことをほぼ断らない、それを美徳と思って生活していました。とにかく自分を下に下に下げていれば転ばない安心感を得られたし、誰かの期待に応えることで必要とされている感覚を手軽に享受できたからです。ほとんどのことを断らないものだから、やることはどんどん山積みになっていきました。わたしはそれをいかに効率よくこなすかが快感で、いつしか量の虜(とりこ)になっていました。仕事は分かりやすく成果が出るから、まるで中毒のような状態になっていたと思います。

幸いにも仕事は楽しく同僚にも恵まれたものの、深夜近くまで働き詰めるのは当たり前。土日すら進んで出社していました。むしろ上司や会社側は休むように言ってくれたこともあるのですが、生き急いでいたわたしは耳を傾けませんでした。

「もっと活躍して評価されたい」

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あなたの24時間はどこへ消えるのか

スワン

「いつか時間ができたらやりたいんだよね」 あなたはこれまでの人生で何度、このセリフを口にしたでしょうか。 でも〝いつか〟なんて保障はされてないし、今やりたいことは「二度とやれないこと」になるかもしれない――。 この連載では...もっと読む

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コメント

y0meem0n 旦那から送られてきた記事。なるほどってなる https://t.co/VMPl60N2cZ 28日前 replyretweetfavorite

kawac これは続きがきになる。 - 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

s_minamino |スワン @shiratoriyurie |あなたの24時間はどこへ消えるのか https://t.co/hMBfeDHm4W 約1ヶ月前 replyretweetfavorite