サクちゃんへ。
こんにちは。 京都はとても寒いです。一気に寒波がやってきた感じ。最近気圧も低くて、そのせいかちょっと気持ちが不安定です。苦手な年末年始中、ダウナーにならないようにとがんばりすぎて、今になって疲れが出たのもあるかもしれません。
年末年始は、ほとんど子供と過ごしていました。
何か正月らしいことをするかと思い、凧揚げをしたのですが、これが意外に楽しかった。わたしも走り回って揚げてみたりしたのですが、青い空にどんどん吸い込まれていく凧を見ていると、何も考えなくて良くて気持ちが良かったです。風に乗る、っておもしろいなと思いました。風がなければ作ればいいし、風が吹けば乗ればいいし、疲れたら休んだらいいし。人生に対する身の委ね方を学んだように思います。凧揚げは奥が深い。
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「蘭ちゃんは、今年なにか新しくはじめたいことはありますか?もしあれば、教えてください」
わたしは、今年は「体験」していきたいなと思っています。
コロナでなかなか難しくなってはいますが、なるべく予防はしながらも、できる範囲で外に出かけて、いろんな体験をしたいなと考えています。
だからって別に旅行するとか、スキューバダイビングをするとか、そういう非日常に身を置きたいっていうわけではなくて。
行ったことのなかった空間に身を置いてみるとか、商品を手に取って質感や重量を味わってみるとか、人に会って目と目を合わせて話してみるとか、食べたことのないものを食べてみるとか、そんな日常レベルの話です。
コロナが流行りだしてそろそろ一年が経ちますが、本当にオンラインでいろんなことができるようになりました。それはそれですごく助かったんです。家にいながら打ち合わせや取材ができるし、生鮮食品から衣料品から大型家具までなんでも買えちゃう。もともと出不精で面倒臭がりのわたしにとっては、本当にありがたい話です。
でも最近、タオルを買ったんですけどね。
この間サクちゃん、「家のタオルを全部変えた」って話していたじゃないですか。ふわふわの気持ちいいタオルにしたんだと。それを聞いて羨ましくなって、わたしもタオルを買おう!と思ったんです。
今うちにあるのは、ペラッペラの安物のタオル。気に入っているわけではないけれど、そこにあるから使ってる、みたいなものです。でもサクちゃんに「毎日使うものが気に入っているものだと嬉しいよ」と言われて、確かにそうだなぁと思いました。
それで、通販でタオルを探したんですよ。
でもタオルってめっちゃ種類があるんですよね。値段もピンキリだし、色も素材もとにかくいろいろある。じゃあ自分はタオルに何を求めているんだろう?って考えてみたんですが、「わたしはふわふわ寄りのさらさら派かも」とか「厚みはややありくらいかも」とか、まあ実際触ってみないとわかんないことばっかりなんですね。こればかりは写真だけではどうしてもわからないので、説明文やレビューをじっくり読み込んでみたりして。
結局、サクちゃんのおすすめの一枚と、「なんとなくこれかな」な一枚を通販で買って、使い比べてみることにしました。
それで届いたタオルを見て、その存在感にちょっと圧倒されてしまったんですよね。
事前にたくさん情報を得てはいたけれど、実物に触ったときの情報量たるや。重み、手触り、におい、大きさ、色味……全部体験しないとわかんないことだなと思いました。
そのとき、わたしは「最近、感覚で選ぶ」ということをしていたかな?と思ったんです。頭の情報量は多くなったけれど、五感の情報量は減っている。言葉や概念やデータに頼りすぎて、体で感じて選ぶってことがあんまりできていないなと思いました。
それって、結構危険なんですよね。言葉以上のもの、言葉からこぼれるものを自分で拾えなくなると危険。文章を書く仕事だからこそ、余計にそう思います。
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