都会との違いはどこにありますか?
Q. 小豆島に来てから気づいたのですが、ここには海も山もあって自然が凄く豊かで遊べる場所はいっぱいありますが、公園というのはないなということだったんです。
塩田:僕の幼少期の記憶では、児童公園などは何ヶ所かあったんですよ。でもいまはそこに新しいお店などができたりして、いつの間にかなくなっていましたね。
Q. 遊ぶ場所には困らないですが、フラッと立ち寄れる公園のような場所がなくなっていて、その機能をいま「Umaki camp」が果たしているのかなと。この「Umaki camp」ような形もこの場所だったからうまくいった気がしています。例えば、これをいきなり大阪で始めても、果たしてここまで色んな人が関わってくれたかどうか。
塩田:そうかもしれないですね。都会から来た人はこの状況を見て驚かれるかもしれないけど、地域の人の間では人の家に勝手に集まるというのがまだ許されているところもあって、この「Umaki camp」も馬木の人たちにとっては当たり前のことのように受け入れられているのかもしれないですね。ただ、僕が小豆島に帰ってきたのは3年前ですが、その時点では、このまま何もしなければ10年先には取り返しがつかない状況になりかねないという印象がありました。若者たちが都会へ行くという流れは強いし、地元の人たちも自分たちの地域がとても素晴らしいところだという意識が少しずつ薄れていたんですね。昔のようにみんなが集まってワイワイガヤガヤやるようなこともなくなってきていたし、ギリギリのところでなんとか踏みとどまっているような感じでした。
「ご近所映画クラブ」に参加した小豆島・馬木地区のみなさん。
Q.でも、島で色んな方とお話をしてみて、この地域の人たちはもともと凄く繋がりが強く、チームワークがあるんだなと凄く感じました。先日、地域の人たちと脚本を作って、撮影をして、その日に上映をする「ご近所映画クラブ」というワークショップのプログラムを使って馬木の人たちと映画を撮った時も、こちらが用意したルールをさらに良い方法に塗り替えていくような意見がどんどん出てきて驚きました。お葬式という設定なんですが、その中に笑いがあって、さらに社会保障や地域の問題も抑えられていて凄く良かったです。
塩田:なかなかのものですよね(笑)。最初はどうなるかわからなかったけど、抱腹絶倒の素晴らしい作品ですよね。この映画にはこの「Umaki Camp」の素地がよく出ていると思いますし、この馬木地区には、自分からどんどん意見を出して色んなことをやっていける人たちが多くて、昔からそういう基盤があるんです。
なぜ小豆島に帰ってきたのですか?
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