cakes読者のみなさま、こんにちは。
今年も引き続き、ポルトガルのワインと気軽な料理をご紹介していこうと思います。ここはいわば架空の居酒屋、もしくは酒屋の角打ちみたいな場。たまにふらっと覗いてもらえると嬉しいです。
連載を始めた頃は、ポルトガル料理とポルトガルワインの組み合わせを紹介していました。それらを2015年に「ポルトガルのごはんとおつまみ」として書籍化し、しばし休憩している間にふと思ったのが、ふだん自分が家でワインを飲むときは、料理はなんでもありだなってこと。和でも洋でも中でも葡(ポルトガル)でもない、自分が好きな味を作って、飲みたいワインと合わせてる。
だから連載を再開してからは、ワインと合わせる料理はジャンルを問わず、つまみだけど食事も兼ねるようなものにしました。実際に自分が晩酌するときは、そういう料理がほとんどだから。ときどきリアルにポルトガル取材から帰ってくると、あちらにインスパイアされた料理が出てくることもありますが、それも出張帰りの店主の日常みたいな感じで、土産話的でいいかなって。あるいは旅に出られない今のような時期は、かつての旅を振り返って料理をしたり。
そんな連載です。
さて。1月は旬の白菜を使います。寒さで甘みもたっぷり蓄えられ、値段は手頃。構える必要のない、親しみやすさが売りの野菜。素直な素材だから、ワインのお供にするなら味や香りのフックが欲しい。ピリ辛の豆板醤、きりっと爽やかなしょうが、舌をじりりと刺激する花山椒を合わせ、干し椎茸の出汁で煮るピリ辛うま煮にします。
干し椎茸と白菜と聞いてピンときた人もいるかと思いますが、この料理のもとは、妹尾河童さんが紹介した「ピエンロー」という、白菜をごちそうにしてくれる中国の鍋。本来は豚バラと鶏もも肉を使いますが、たまたま豚ひき肉しかないときにどうしても食べたくなって作ったら、こういう煮ものになりました。河童さんレシピのピエンローは、ご本人のエッセイ「河童のスケッチブック」での登場を皮切りにdancyuなどの雑誌でも何度も紹介され、30年近く経った現在でもドラマの食卓で再現されたりと、時代を超えた鍋界の伝説的存在。検索するとピエン、ぐらいで鍋名が上がって来るメジャーっぷり。このうま煮は、その要素を抽出しつつ複数の辛味を加えたものです。
今回はオレンジ白菜を見つけたので、ワインもポルトガルのオレンジを合わせました。では、パパッと作っていきましょう。
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「白菜と干し椎茸のピリ辛うま煮」
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