家成俊勝(建築家)→塩田幸雄(小豆島町長) Vol.1「アートと社会保障はどう関係しているのですか?」

今回のインタビュアー家成俊勝さんは、11月4日まで開催されている「瀬戸内国際芸術祭2013」の参加アーティストとして、小豆島「醤の郷+坂手港プロジェクト」において、誰もが「建てる」ことに参加できるプロジェクト「Umaki Camp」を展開している建築家。大阪を拠点に活動する建築事務所dot architectsの共同主宰でもある彼がインタビューするのは、その「Umaki Camp」が建てられた敷地のオーナーであり、さらに小豆島町の町長でもある塩田幸雄さんです。長年中央省庁で働き、3年前に故郷である小豆島に戻り、「瀬戸内国際芸術祭2013」にも積極的に関わっている塩田町長に、家成さんがいま聞きたいこととは?

アートと社会保障はどう関係しているのですか?

Q. 僕らはこの春から瀬戸内国際芸術祭のプログラムとして、町長の家の敷地に予算300万円で建築物を建てる「Umaki camp」というプロジェクトを進めていますが、最初に町長のところに挨拶に伺った時、おそらくわけのわからん兄ちゃんたちが大阪からやって来たという感じだったと思います(笑)。しかも、自分の家の敷地内に家を建てて、そこでラジオ局を作ったり、ヤギを飼ったりしたいと(笑)。正直僕らがやろうとしていることは伝わりにくいものだったと思うんですが、そういう僕らをやんわり受け入れてくれました。その時に、わけのわからないものを入れることで地域を活性化させていくようなボトムアップ式のやり方と、決断してすぐに実行に移すトップダウン式の進め方の両方があることが凄くいいなと感じました。

塩田:僕は、なぜ瀬戸内国際芸術祭を小豆島でやっているのかと聞かれたら、「アートが社会保障の問題を解決するから」ということをキャッチフレーズのように答えているんです。社会保障の本質的な問題は、人々が助け合う仕組みをいかに維持するかということなんですが、いまは権利ばかり主張するような社会保障制度の中で、お互いに助け合っているという実感が一人ひとりからなくなっていると思うんです。社会保障の問題を解決するために必要なものは、お年寄りのケアから子どもの面倒までをきちんとできる共同体としての強い絆だというのが僕の結論なんですね。その絆を深めるためにどうするかということが、お祭りであり、アートであり、この「Umaki camp」なんですよ。実際、わけのわからん建物にこんなに人が集まっているでしょう(笑)。

Q. 僕は阪神大震災の時に住んでいた家が全壊したんですが、インフラがシャットダウンされ、行政のフォローも届きにくい状況下で、それまで挨拶程度しなかった住民同士が助け合いながら、自分たちの街を作っていこうという意識を共有していた瞬間があったんです。その時僕はまだ建築を始める前で、法律をやっていたのですが、ルールというのはもしかしたら自分たちで作れるのかもしれないと思ったんですね。今回のプロジェクトも建築自体は14坪程度の小さなものですが、そこからこの馬木地区、さらにその先に広がる社会というものを念頭に置いています。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
いま、僕たちが話を聞きたい人

カンバセーションズ

インタビュアーという存在にスポットを当てるこれまでにないインタビューサイト「QONVERSATIONS(カンバセーションズ)」。毎回異なるクリエイターや文化人がインタビュアーとなり、彼らが「いま、本当に話を聞きたい人」にインタビューを...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

BlockFrog 「アートが社会保障の問題を解決するから」 4年以上前 replyretweetfavorite

metama_ 「自分たちの街を作っていこうという意識を共有していた瞬間があった」 4年以上前 replyretweetfavorite

ippoqqi 続き読みたいな…有料… 4年以上前 replyretweetfavorite

QON_NET cakesさんの連載でも新シリーズスタートです 4年以上前 replyretweetfavorite