あなたには「絶対に許せない人」はいますか?
ある五〇代後半の女性の話です。幼い頃、親にされた仕打ちにずっと苦しんでいました。四〇年以上の時が流れ、自分自身が親になり、孫も生まれようとしていても、幼い頃から抱き続けた親への怒りが消えないのだそうです。 小さい頃の生育環境が持つ影響力の大きさと、親の責任の重さを改めて考えさせられる話です。
しかし、怒りや裏切られたという思いは、本人の問題でもあります。 厳しいことを言うようですが、「裏切られた」という怒りや悲しみを何十年も心の箱にしまって、恨みの心を育て続けたのはその人自身。捨てずに大事に抱えながら、生きてきたということなのです。
誤解しないでほしいのは「恨みを育てたんだから、本人が悪い」という話ではないということ。どうやら人間というのは、何でも持ち続けたい、手放したくない生き物のようです。
さっさと捨てたほうがいいネガティブな感情すら、持っていたい。だから子どもの頃の怒りや恨みを抱えたまま、大人になってしまう。 過去に戻って、親から自分を守ることができたなら素晴らしいですが、それは不可能な話。変えようがありません。