FOK46—フォークオーケン46歳
【第4回】天国への階段

「大槻さんですよね。今日はギターをお探しですか?」
 楽器店で店員ににこやかに話しかけられたときの、あの『す、すいません!』とその場からダッシュで逃げ出したくなるような(補足すれば、それは『すいません』の前に『生まれてどうも』とつけたくなるほどの申し訳ない気分なのだ)を理解することができるのは、長いキャリアを有しながら、まったく楽器を弾くことのできないバンドマンだけであろう。
 しかも話しかけてきたのが娘ほども歳の離れた女性店員とあっては。

「今日の狙い目はどのあたりですか? いいの入ってますよぉ」
「え、え、あ、いやぁ、あははは……」
「今見てらっしゃったゴダンなんかはほら、ゲインをここで調整できるのがすごく便利で……」
「ゲ、ゲイン? ゲインってなんですか?」
「……え?」

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小説 FOK46—フォークオーケン46歳

大槻ケンヂ

30年以上音楽活動を続けてきた、ロックミュージシャンの大槻ケンヂ。楽器演奏と歌を歌うのを同時にできないという理由で、ボーカルに徹してきた彼が、2012年、ギターの弾き語りでのソロツアーを始めた。その名も『FOK46(フォークオーケン4...もっと読む

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