ここまでやれば仕事に慣れる

ここは、カフェ「しくじり」。都会の喧騒を離れ、一見さんお断りの限られた客のみ入店できる会員制のカフェ。
このカフェでの通貨は「しくじり」。客がマスターにしくじり経験談を披露し、その内容に応じてマスターは客に飲み物や食べ物を振る舞う。
マスターの小鳥遊(たかなし)は注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持ち、過去にたくさんのしくじりを重ねてきた。しかし“ある工夫”で乗り越えてきたという不思議な経歴の持ち主。
そんな過去の自分と似た「会員」のため、今日もカフェのカウンターに立つ。
そんな奇妙なカフェのお話。

(初回はこちら)(記事一覧はこちら

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(カラン、コロン〜♪ カラン、コロン〜♪)

りんだ 「重箱の隅をつつくにも程があるってのぉ! まったくもう!」

小鳥遊 「おや、いつにも増して賑やかな入店ですね。りんださん、いらっしゃいませ」

りんだ 「だって、先輩が『そこまで細かく突っ込まなくても』っていうところまでチクチクネチネチ言ってくるんですよ! 『そこ違うんじゃないか』とか『いや、まだやることがあるぞ』とか」

小鳥遊 「面倒見のいい先輩じゃありませんか」

りんだ 「でも! いちいち細かいところまで言わなくてもいいですよね!? そう思ったら、私キレちゃって……。先輩と気まずくなったまま会社から帰って来ちゃったんです」

小鳥遊 「それは気まずいですね。いいしくじりです。話の続きをじっくり聞かせていただきますね」

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りんだ 「今回、先輩と一緒に開発をする、『アップルパイ自動作成機』のレシピを設定するために、アップルパイの作り方をおさらいしようということになりまして」

小鳥遊 「レシピを共有するんですね。いいじゃないですか」

りんだ 「それが、先輩が細かくて細かくて!」

小鳥遊 「なるほど…では、実際にりんださんのレシピを教えてください」

りんだは、次のように説明した。

1.冷凍パイ生地を3枚用意する
2.りんごを砂糖、シナモンと一緒に透明感が出るまで煮る
3.パイ生地の1枚を丸く切り、残りの2枚は細く切る
4.丸く切ったパイ生地の上にりんごを敷く
5.細く切ったパイ生地を格子状に乗せる
6.200度のオーブンで30分焼く

りんだ 「小鳥遊さん! 完璧なレシピだと思いませんか!?」

小鳥遊 「分かりやすいですね、私には」

りんだ 「分かりやすいですよね? やっぱり!」

小鳥遊 「でも、自動作成をするための設定としては、ちょっと説明が足りないと思います」

りんだ 「ええっ! でも、私はこれで作れますって」

小鳥遊 「フフフ。そこなんですよね。りんださんは、もうアップルパイを作ったことがありますが、何も知らない機械に教え込むには、もうちょっと細かく分けたほうがいいと思いますよ」

りんだ 「じゃあ、どうすればいいんですか?」

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カフェ「しくじり」へようこそ

小鳥遊 /りんだ

発達障害でありながら一般企業に勤める小鳥遊(たかなし)さんが、カフェのマスターに扮して仕事の悩みに答えるストーリー連載。「安心して仕事ができるようになる、安心して会社に行けるようになる」を目指す、世界でいちばん意識低い系のビジネス連載です!

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