蘭ちゃんへ
こんにちは! あっという間に年末です。蘭ちゃんは年末年始が苦手だと書いていたけど、わたしも苦手です。同じだね。わたしの場合は、自分がしんどい思いをするわけではないんだけど、ただなんか苦手。誰と一緒に過ごすかで大事なものが明確になるような、持っている人と持たざる人がくっきり分かれるような、そういう「特別な日」みたいなのが苦手なのだと思います。
常温で、なんにもない、ふつうの日が好きです。
今年は、そういうふつうの日がどこかへ行ってしまって、なんだかずっと緊張しているような、気を張っていた日々が続いていたので、ほんとうにみんな疲れているような気がします。
この先もまだしばらくはこういう状況が続くと思うと、気合いだけでは乗り越えられないので、なんとか気を晴らす方法を増やしていかないとなーと思います。
とはいえ、ひとまず、わたしも蘭ちゃんも、1年おつかれさまでした!
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前回の日記で、わたしがはじめて蘭ちゃんに会いに行ったときのことを、蘭ちゃんの視点から見ることができておもしろかったです。わたしたちは、それぞれが書いた文章でちゃんと自己紹介をしあっていたんだね。よかった。
わたしに会ったときの印象が「文章のイメージ通り」というのも、とてもうれしいです。蘭ちゃんは「いい匂いの言葉」と表現していましたが、たしかに誰かが書いた言葉からは、言葉にはあらわせない(言葉なのにね)何かを感じ取っていて、それはまさに匂いのようだね。うん、文章は、匂いますね。
蘭ちゃんにはじめて会ったときの印象は、「思ってたより元気だな」でした。文章の匂いとのギャップはなくイメージと変わらないのだけど、声を聞くと、想像よりも少し軽やかで、くだけていて、安心しました。
書くというのは、泣くのと似ているなと思うことがあります。
感情がうごいたままを言葉に映すことは、涙が出るままにワーっと、しくしくと、ぽろぽろと、出すようだなと思うのです。誰かを動かそうとする手段として泣いたり、嘘泣きをしたりすると、相手にちゃんとバレてしまうのも似ています。
泣くのは、悲しいだけではなくて、うれしい、悔しい、苦しいなどいろんな涙があって、とにかく感情がうごいて溢れ出るということです。
蘭ちゃんの文章は、素直に、出るままに泣いているのが伝わります。実際に会ったときにはもちろん泣いてはいないので、「お、意外と元気じゃん」と思ったのかもしれません。
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わたしは「書くことが苦手だ」と言って、「そんなことないでしょ」と信じてもらえないことがよくあります。謙遜とか理想が高いのだと思われるけれど、そうじゃないんです。
書くことと泣くことが似ているのだとしたら、きっと書けないことと泣けないことも似ていて、まさに、わたしは泣くのが苦手なのです。
18歳くらいからざっと10年以上泣いたおぼえがなくて、30歳くらいで「どうしてわたしは泣かないんだろう」と自分でも心配になるほどでした。悲しいことやうれしいこと悔しいことがなかったわけではないのだけど、どんなことがあっても「泣く」という作用に繋がらなかったのです。
全米が泣いた映画を観ても泣かないし、親が死んでも、子供を産んでも、泣くことはありませんでした。
泣くのを我慢しているわけではなかったので、機能の欠陥かと思っていましたが、数年前から、どういうわけか泣けるようになりました。
なにか大きな出来事があったのではなく、文章を書きはじめたからだと思っています。
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