削除された「選択的夫婦別姓」
今月中に閣議決定される第5次男女共同参画基本計画に、「選択的夫婦別姓」が盛り込まれるかどうかの攻防が続いていたが、自民党の保守層が反発しまくり、結果的に、文言は盛り込まれないこととなった。
安倍政権下で、看板政策の一つとして連呼されていたのが「女性活躍」。その目玉だったのが、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする、というもの。この数値目標が記されていたのが第4次男女共同参画基本計画で、この数値目標については、ギリギリのタイミングを狙い、今年になってから、あっ、やっぱり無理でした、と匙を投げた。2012年の衆院選では自民党が公約に「確実に達成」と明記していたし、2014年の世界経済フォーラム年次総会では、安倍晋三首相が「国際公約」とまで言った。「確実に達成」「国際公約」としていたものを、「やっぱり無理でした」で済まそうとするダメ社員的な態度に、私たちはすっかり慣れてしまった。だが、それに親しむ必要はない。
「紡げ、絆を!」「誰だよ、オマエ」
選択的夫婦別姓。文字通り、頭に「選択的」がついている。夫婦が同姓か別姓かを選べるようにする制度に対して、「自由に選ばせるなんて!」と反対の声が向かう。自分の選択肢ではなく、他人の選択肢が増えるのを止めようとしている。「今宵、ウチはすき焼きにするんだから、あなたの家も焼肉ではなく、すき焼きにしなさい!」と強制しているみたいなものだ……なんて、たとえ話は不正確。なぜって、もっと奇妙だから。もっと無礼だから。生きていく上で必要な選択肢を、他人が潰しているのである。
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