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幡野さん、こんばんは。
コロナになってしまいました。今ホテルで療養しています。
看護師さんも事務局の方も、みんなとても優しいです。本当に。たまに内線が来ると、優しい声にほっとします。
でも本当はとてもイライラしてるんじゃないかと思っています。「世話しても世話しても次から次へと罹患者がやってくる。私が献身的になったって、外出を我慢したって、世間はやれ忘年会だなんだと騒ぐし、やってられない」
私ならそんなふうに思ってしまいそうです。
お弁当も、飲み物も、薬も、全部無料でいただけてしまいます。全部税金です。
友達も濃厚接触者認定されたので、迷惑をかけてしまいました。
ホテルの調整で良くしてくれた人に「あなたのお陰で安心してホテルで過ごせています」とお礼が言いたかったけど、忙しいのにお礼のために電話なんてかけられない。
私は何が相談したかったのでしょう。
わかんなくなってしまったけど、とにかく辛いんです。この申し訳ない気持ちも。疲弊してる誰かを思うことも。私が完治しても、それらの思いが続いていくことも。
(こつめ 26歳 女性)
年齢も若いし、ホテル療養してるってことは持病もなく症状は軽いだろうけど、お大事にしてくださいね。26歳って若くないでしょ、って自分では感じるかもしれないけど、実は医療者が普段相手にしている入院患者さんって80代とか70代の高齢者が多いから、50代でも若いっていわれます。
ぼくなんかも若い患者さんっていわれると違和感を覚えるんですけど、入院すると群を抜いて若いことを実感します。抜群に年齢が若いからなのか、他の患者さんからマウンティングみたいなものをけっこう受けるんですよ。
「お前は若いんだから……」的なお説教や、「オレの方が大変なんだぞ……」的な症状マウンティングも結構な頻度で発生します。はっきりいってしまうと、すっごくめんどくさいし、病人が症状で競い合っているのは悲しくなります。症状マウンティングはマジでなんなんだろ、一昔前の寝てない自慢と近いのかな。
病人は心清らかで温厚という幻想を抱いている人が結構いるんですけど、そんなことないんですよ。それはご老人はみんな心清らかで、温厚という幻想とおなじです。温厚な病人は健康なときから温厚だし、めんどくさい人は病気になればめんどくさい病人になるものだってぼくはおもいますよ。
だからね、早々にはっきりといっておきますけど、あなたは大丈夫ですよ。看護師さんも医療事務の人も、あなたにイライラは、まず間違いなくしていないでしょう。
いま新型コロナウイルスの陽性者が増加して病院が逼迫しているわけですけど、きっと療養してるホテルも混んでますよね。ホテル療養には軽症者や無症状の患者さんがおおいのだろうし、隔離されているストレスもあると思います。
そもそも、病院の入院をホテルの宿泊と勘違いでもしているのか、ホスピタリティたっぷりなサービスを要求して、看護師さんの仕事量を増やしてしまう勘違いした患者さんを、病院でたまに見かけます。ホテル療養なら、なおさらこの勘違いする人が増えるんじゃないかと、ぼくは勝手に想像しています。
ホテルに常駐している看護師さんって、きっと病棟で働く看護師さんとは、また性質の違うストレスとプレッシャーがあるとおもうんですよ。病院に比べたら医療用の設備が整ってないし。だから看護師さんはイライラはしているかもしれないけど、過度な要求をしてくる患者さんに比べたら、あなたは間違いなく良い患者さんだとおもいますよ。
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