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幡野さんはじめまして。
私は、3歳と1歳の女の子を持つ父です。
子育ての悩みです。
と言いつつ、本当は子供ではなく妻に対する悩みの方が大きい気がします。
私は、幡野さんの著書を呼んでいて共感できる部分が多く、子育ての方針も見習わせていただいています。とくに子供を怒ることに対して否定的な部分は、妻にも常日頃から伝えています。
だからこそというのも失礼だと思いますが、どこまで子供を怒らずにいるのかを夫婦で悩んでいます。
3歳の長女は、イヤイヤ期というのでしょうか?とにかく言うことを聞かない時期になりました。
といっても、何を言われても反対の事を言うというのではなく、「遊びたい」や「おしゃべりしたい」という欲求のままに突っ走っている感じです。
ご飯を食べていても、おしゃべりばかりで全然進まない
歯磨きをせずに笑いながら逃げ回る
いつまで立っても「パパと遊びたい」で夜がふけていく
といった状態で、私が帰宅してからだけでも嵐のようにエネルギッシュです。
最終的に寝付くのが22時を回っていることも珍しくないので
さすがに3歳児としては遅いよなぁと思っています。
次女はまだ1歳ということもあり、あまり手がかからないのですが、長女が常にうるさくしているので、お昼寝も、夜の睡眠も強制的に短めです。
問題は、24時間この状態を切り盛りしている妻のストレスが限界値を超えることがあり、結構な剣幕で怒ることがあるようです。
「あるようです」というのは、私が見えている範囲での状態から考えると、一人の時はもっとひどいのだろうと考えていて、妻もそう言っています。
私が見ている限りでは、着替えのときに「じっとしててよ」と言っただけなのですが、着替え始めてすぐ、少し動いただけでとんでもなく冷たい目とトーンで威圧するようにしていた時がありました。
この状態はまずいと思い、子供が寝静まってから話をしましたが、何を言っても効かない長女へのストレスが限界値を超えると、かなり辛くあたっていたようです。 辛く当たった後は自己嫌悪に陥り落ち込んでいるのですが、それがまたストレスに拍車をかけて悪循環に陥っています。
(※中略)
私も寝かしつけてから洗濯や食器洗い(食洗機ですが)等の夜まで残せる家事は担当していて、極力妻の負担を軽減していますが、私は仕事もありますのでやれることには限界があります。
24時間専業の妻の沸点が低くなるのも、肯定はできませんが理解はできるのです。
冒頭に、幡野さんの子育てに共感しているとか言っておきながら「幡野さんだって、線引きをした上で子供に叱っていることもあるんだろう」「奥さんに保育士経験があるから上手く回せているんだろう」などという、全く根拠のない憶測を頭の片隅でしてしまっています。
私は子供の状態を見るときには「大人に気を使いだしたらヤバい」くらいに考えています。
今の所その徴候はまったくなく、日々好き放題に子供らしくおふざけ全開です。(だから大変なのですが)
外に出ても、スーパーの店員さんに大声で話しかけたりするくらいのコミュ力を発揮し、見ず知らずの大人にも積極的です。
誘拐犯にもニッコニコで付いていくだろうと言っているくらいです。
だから、まぁ今のところは大丈夫だろうと思いつつも、考えすぎる妻の性格からくる悪循環のブレーキは必要だとも思っています。
他人からすれば、なんの問題もない子どもたちに見えると思いますし、実際元気すぎるだけでメチャクチャかわいく良い子たちです。
贅沢な悩みだと思います。 でも、世の中のお母さんはこういったことでみんな悩んでいるのかもしれないし、それをどうサポートしていいのかわからないお父さんもたくさんいるんだろうなと思います。
幡野さんが私の立場だったら、妻にどんな言葉をかけ、子どもたちをどう育てていきますか?
(大納言 31歳 男性)
※文字数の都合上、一部省略させていただきました
ぼくの書籍とか他の媒体で書いた育児に関する文章とかを読んでくださっているんだろうし、「幡野さんが私の立場だったら……」という相談なので、赤裸々にうちの内情をお教えしますけど、これを聞いたところで環境がまったく違うからマネは難しいと思います。
だから参考程度にうけとめて、それをご夫婦で咀嚼して、家庭環境にあった落としどころをみつけてください。ちなみにこれ、妻と一緒に書いています。妻は幼稚園教諭を10年経験して、いまは保育士のパートで3年目です。
まず妻が、「保育士は子どもが好きな人がなるけど、保育士だから子育てが上手いわけじゃない」「子どもが好きでも子育てが上手くいかない人はいる、そういう家庭はおおいんじゃない?」ということを主張しています。
そしてぼくは子どもを叱ります、ただ怒らないだけです。怒ると叱るは違います。たとえば大声や威圧的なトーンの声を出さない、テーブルを叩いたりモノを投げたり、馬鹿にしたり、はずかしいおもいをさせたり、叩いたり殴ったりということはしません。
でも指摘をしたり注意すべきことはします、だって子どもは知らないことばかりだからです。職場で新人に仕事の説明をする感覚に近いです。
子どもにいうことを聞かせることが目的である場合、怒るという手段ははっきりいって有効性が高く、効率的だとおもうんです。恐怖や不安を煽れば子どもはおろか、大人だってコントロールできます。
でも、そういう教育を受けた子どもが大人になったとき、他人にいうことを聞かせようとする手段に暴力や威圧を使ってしまうとおもうんですよ。そんな人、職場でも家庭でも孤立しますよね。
怒るというのは短期的には効果があるけど、自己嫌悪もあるのだろうし、あまりいい結果にはならないとおもいます。我々やその上の世代には褒めて育てるなんて考えがなかったので、厳しく育てられた人がおおいとおもうから、結果としては厳しい社会になりましたよね。ぼくには優しい社会だとはおもえません。
暴力や暴言はいけないという教育を子どもにする必要があるのに、親が子どもに暴力を振るったり、配偶者に暴言をはいていたら、すごく矛盾をしているとおもうんです。そして子どもはそれを有効な手段として認識してしまうでしょう。
怒らないで叱ってくれる上司の方が、圧倒的に部下から支持されますよね。そういう人に子どもがなってほしいし、そういう教育をしていれば子どもから支持もされます。
なのでぼくは子育てを長期的に考えたときに、怒らないほうがいいと感じているだけです。
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