たくさんのご家庭のお葬式や法事にかかわらせていただく中で、私はずいぶん勉強させていただいたと感じています。
ふと、気づかされたことがありました。そのご家族が幸せかどうかは、実はお金のあるなしには関係ないんです。 世界中で格差が拡大し、日本も貧富の差が大きくなっていると言われます。
でも、お金がない人は不幸で、大金持ちほど幸せかといえば、違います。 金銭的に満たされているのに幸福感を得られない人も大勢います。贅沢三昧(ざんまい)をしているから幸せかというと、必ずしもそうではない。
「三昧」とは、もともと仏教の言葉で「何かに完全に浸りきっている状態」を表します。言ってみれば、リラックスしているのに集中している「ゾーン」の境地。 ブレ、迷い、不安が一切なく、そのことに没頭できている感覚こそが三昧です。
いわゆる「贅沢三昧」は、没頭していないので本当の意味での三昧ではありません。貧しい人が豊かになり始めれば、何もかもが新鮮で、贅沢は楽しいでしょう。 でも、大富豪になり、日常的に五つ星ホテルのスイートに泊り、最高級の料理を楽しんでいたら、すべてが「普通」になってしまいます。もっと新しい贅沢を求めて宇宙旅行に行っても、慣れればそれで終わり。
そこまでいかなくても、今の日本ではそれなりに衣食住に不自由しない生活をしている人がほとんどだと思います。 〝満たされた〞生活をしている中で、一部の人は気づくはずです。 それらが、心の平安や幸せにつながっていないことに。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。