SNSの発信は、時間をかけた自己紹介

最近のふたりの交換日記は「SNSとの付き合い方」についてが緩やかなテーマ。便利な道具との付き合い方について、ふたりが語り合う。――「会って話す」は、目の前にいる人と完全に関わっていて疑う余地がありません。そのことがこんなにも安心をうむんだなと実感しました――と書いているサクちゃん。いいこと言うなあ。この前までは、どのように受け止めるかについて書いてきましたが、今回はどのように発信するかについて。第40回はサクちゃんの番。毎週火曜日更新です。

蘭ちゃんへ

こんにちは!

先日、1年ぶりに京都で蘭ちゃんに会えました。ここで毎週やりとりをしているし、オンラインでおしゃべりもしていたけど、会って話すことはほんとうに特別にうれしくて楽しいなー!と、改めて思いました。こういう感覚は覚えておかないとな、とも。

前回の日記で、蘭ちゃんは「意識しなければ『SNSに書いてあることが、だいたい自分に関係ある』と思ってしまう」と書いていましたが、「会って話す」は、目の前にいる人と完全に関わっていて疑う余地がありません。そのことがこんなにも安心をうむんだなと実感しました。

逆から見ると、「今入ってくる情報」をただ受け取ること、関係あるかないかを判別すること、関わるかどうかを決めること、そういう小さなことの中に小さな不安があることも、よくわかります。SNSのしんどさみたいなものは、きっとそれが積み重なっているんだろうな。

*ー*ー*

前回「SNSによって受信過剰になっているのでは」と書きましたが、「サクちゃんは、発信するときに気をつけていることはありますか?」という質問をもらったので、発信についても考えてみました。

前にも書いたように、わたしはSNSを「双方向ではなく『勝手な発信』と『勝手な受信』で成り立っている」と捉えています。

受信に関しては、どう受け取ろうと自由で好きにしても誰にも見えませんが、発信は見えてしまいます。

……と書いて、自分で気が付いたんだけど、「見えちゃうんだよな」と感じているということは、誰かに見せるための、他人が見る前提の「発信」ではないのかもしれません。うん、わたしはSNSで何か書くときに、「発信」のように自分から矢印が出てだれかに届けるというイメージがないですね(明確に何かお知らせしたいことがあるときは別だけど)。

じゃあ、なんで、どんなつもりで書いているのかというと、メモです。

ふと思ったことや感じたこと、見かけた小さな出来事、長く考えているなかでちょっとわかりかけたこと。ほっといたらきっと忘れちゃうことを、忘れないように書いています。いやー、ほんとうに忘れちゃうからね、驚くほどに。

自分のためのメモだけれど、誰が見るかわからない場所という点で、誰かを傷つけることを書かないとか、怒られることは避けるなどの意識はあります。他人の目をまったく意識していないわけではないし、読んだときに誤解が少ないように気をつけてもいると思います。

人が見る可能性のあるところで言葉を書くとき、整えながら意識しているのが、わたしの尊敬する人が言っていた「どんな文章も自己紹介だ」という考え方です。誰かに読んでもらうために書いた文章じゃなくても、そこに意味や意図などなくても、どんな文章の中にも必ず「自分」は出る。そういうものなんだと。ほんとうにそうだなと思うし、何度も思い出します。

わたしは、誰かが他人の悪口を書いたり中傷するのを見ても、それが正しいかどうかは関係なく、その人の自己紹介として受け取っています。何をどう感じようと、どんな黒い思いがあろうと自由だし、誰もがきれいな感情ばかりもっているわけではありません。でも、それをどこに出すかは、マナーとセンスが問われています。自分も気をつけています。

逆に、整えすぎて自分とかけ離れたものにならないようにもしています。他人からどう見えるかばかりを意識して書いたものは、そのまま「こう見られたいのだな」という部分が伝わるものだし、そういう意味でも自己紹介になってしまうのだと思います。

というわけで、わたしがSNSで書くことは、忘れないためのメモと、自己紹介のふたつの要素でできているようです。

*ー*ー*

SNSで書いたものは、長い時間をかけて自己紹介をしているという考えは、「SNSでできた良い関係はありましたか?」という質問の答えにもつながります。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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