自己肯定感」を持てる人と、持てない人の決定的な差

ーー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるーー北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていたことを、「工夫」によって次々と実現させていく著者の姿勢と、素朴で力強い言葉に心を揺さぶられます。書籍『好奇心を“天職”に変える空想教室』より全文公開します(提供元:サンクチュアリ出版。毎週土曜日更新予定)。

みなさんの命はとっても大切なものです。そして可能性にあふれています。

なぜ人を殺してはいけないかといえば、それは「人の可能性を奪ってしまうから」ではないでしょうか。
言葉を使って人の可能性を奪うことも、人の命を脅かすことと変わりない、恐ろしいことだと、ぼくは思っています。

そして人の可能性を奪おうとする、象徴的な言葉が「どうせ無理」です。
簡単な言葉です。すぐ楽ちんになれる恐ろしい言葉でもあります。
この言葉をつぶやくだけで、なにもしなくて済んでしまうからです。

でもこの言葉こそが、人に「努力なんて無駄だ」と思わせる最悪の言葉です。

他人からこの言葉をくらうと、人は大変なことになります。
なぜなら人の“自我”というもの、つまり「自分は自分だ」という確信は、とっても弱いものだからです。
自我というものは、ただの思い込みです。
思い込みの「自分」を守りたいから、自分はつねに「変じゃないんだ」「必要とされてるんだ」と思っていたい。
ところが、この「どうせ無理」という言葉をくらうと、「きみをあてにしてないよ」「きみなんていらないよ」という意味を受け取ってしまいます。
「きみなんていらないよ」といわれた人が、自信を持ち続けることはできません。
自信がなくなるとまずいです。
自信がなくなると、なにをしていいのかがわからなくなります。
自分になにができるのかもわからなくなります。

将来のことで悩む人はいっぱいいます。
その状態の人に「もっと真剣に考えなさい」といっても解決しません。
いくら考えたところで、自信を取り戻すまでは解決できないのです。
自信がないと不安になります。不安だから友情とか愛情に“証拠”を求めたりするようになります。

証拠です。
たとえるならば『みにくいアヒルの子』のように〈みんな羽根が黄色いのに、お前だけ「黒い」から仲間じゃない〉という状態です。
このとき、みんなと同じ黄色い羽根、というのは友情の“証拠”かもしれません。
LINEでメッセージを送った後「既読マークがついているのに、返信してくれない」と悲しむ人もいるようです。
でも友情や愛情の“証拠”は、たいてい“束縛”です。
この束縛がさらにエスカレートしていくと、「友だちなんだから、いうことを聞くのは当たり前だろう」などと、とんでもない思い違いを生み出すこともあります。
そして束縛”をするのは、「自信がない人」たちです。

ちなみにLINEの“既読”という機能は、東日本大震災から生まれたものです。
たくさんの人が安否確認をしようとしたときに、メールを送っても電話をしても、相手が気づいてくれているのかどうかわからないと、心配した人たちがいました。
そのときに返事はできないけど、「わたしは生きていますよ、安心してね」という意思を伝えるために生まれた機能です。
そんなすばらしい目的のために作られたものが、友情の証拠づくりに使われているなんておかしいことですよね。

「ずっと信じていた人に裏切られた」というショックを引きずっている人がいたら、考えてみてほしいです。
人を信じるってなんだろう。
たとえば“信じる”の定義を「この人は、きっとこうしてくれるはず」だとしたら、“裏切られる”というのは「この人が、まさかそんなことをするなんて」です。

つまり「信じていたのに、裏切られた」という状態は、「他人に自分の期待を押し付けていたけど、期待通りにならないから腹を立てている」という状態だともいえ、もしかすると自己中心的な考え方だといえるかもしれません。

他人の気持ちを知ることはできません。人はわからないものです。
そのことをちゃんと教えてくれるアニメが『新世紀エヴァンゲリオン』でした。
このアニメの中には碇(いかり)シンジ君という男の子が出てきます。
彼は父さんのことが好きです。
ところがこの父さんはこわいです。
すぐに怒って、「帰れ!」といってシンジ君を追い返してしまいます。
そうしたらもう、碇シンジ君はいきなりヘコんで、父さんについて愚痴をいいはじめます。

「父さんがいったいなにを考えてるかわからない!」
「どうせぼくのことなんかわかっちゃくれないんだ!」と。
すると、そばにいた綾波レイちゃんという女の子が、碇シンジくんに質問します。
「あなたはわかろうとしたの? 伝えようとしたの?」
そうしたら碇シンジ君は、「そんなの関係ないよ!」といってしまうんです。
関係なくないですね。
関係おおありです。人間の心はわからないのです。
わからないから、どうしても「わかる努力」と「伝える努力」が必要です。
しかもそれは、お互いにやらなきゃいけない。

人との絆(きずな)は大事です。
でもお互いに我慢をしたり、無理をしたりするのは、絆でもなんでもありません。
それはただの束縛です。
本当の絆というのは、「受け入れる」「かかわる」「見捨てない」です。
受け入れて、かかわって、見捨てない。
それが愛というものなんだろうと、ぼくは思ってます。

自信はとっても大切なものです。
自信をなくしてしまった人の中には、自信がほしいから、自信をお金で買ってしまう人がいます。
ある人は流行ばかり気にして、自分の身を飾るようになります。
そしてお金をどんどんなくしていきます。自慢をするようになる人もいます。人を見下すようになる人もいます。
他の人ががんばったらこまるからと、人の努力を邪魔するようになる人もいます。

これは、いじめの原因じゃないですか。
こういう人たちが、みなさんのまわりにもいるかもしれません。
いじめられる人もかわいそうですが、いじめをしてしまう人も、誰かに自信を取られてしまったかわいそうな人たちです。
そのかわいそうな人たちが、自分の自信を守りたくて、しょうがなく他の人たちの自信を奪っているのです。

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好奇心を“天職"に変える空想教室

植松 努
サンクチュアリ出版
2015-10-26

この連載について

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植松努の空想教室

植松努

ー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるー 北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。夢見る経営者が涙まじりに訴え、TEDxで話題となった感動スピーチを書籍化。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていた...もっと読む

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コメント

ASD_hard_life 長文すぎて途中から目眩がしましたが、自己肯定感持てる人は『成人するまでの成功体験の多さ』と『親との関係性』だと思います。 9日前 replyretweetfavorite

ERK_0002 多分、週末までしか読めないと思うので。 10日前 replyretweetfavorite

mihashih がんばっていてモヤっとした時、先が見えない時、読むと元気出るかも、な記事でした。 https://t.co/qjVEhrphAL 11日前 replyretweetfavorite

kanan_2010 今日響いた言葉 本当の絆というのは、「受け入れる」「かかわる」「見捨てない」です。 受け入れて、かかわって、見捨てない。 それが愛というものなんだろうと、ぼくは思ってます。 https://t.co/zmdroyutxm 11日前 replyretweetfavorite