わからない」というのは、自分の状態を表しているだけ

ーー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるーー北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていたことを、「工夫」によって次々と実現させていく著者の姿勢と、素朴で力強い言葉に心を揺さぶられます。書籍『好奇心を“天職”に変える空想教室』より全文公開します(提供元:サンクチュアリ出版。毎週土曜日更新予定)。

大きな会社と取引することになったとき、こまったことになりました。
契約の直前に電話がかかってきて「株式会社を作りなさい」というのです。
そのときまで植松電機はぼくと父さん、ふたりきりの個人事業でした。
有限会社ですらありませんでした。
相手の会社は、とっても歴史がある会社です。
だから「いまだかつて、わが社は個人と取引をしたことはない。
ただちに株式会社を作りなさい」というようなことをいうのです。
なんて横柄なことをいう会社だろうと思いました。
ぼくはこまってしまい、父さんはうろたえてしまいました。
会社なんて作ったことがないから、どうしていいかわからないのです。

でもすぐに思い直しました。
「わからない」というのは、自分の状態を表しているだけです。
「おなか減った」とか「寒い」といっているのと、同じことだと気がつきました。
おなかが減ったら、なにか食べればいい。寒かったら、なにか着ればいい。そして、わからなかったら調べればいいのだと思いました。

ぼくは自転車にのって、近所の本屋に行き、本を買いました。その本を読んで学んだら、株式会社植松電機が誕生しました。『自分でできる会社の作り方』という本です。この本を買った理由はタイトルの頭に「失敗しない」と書いてあったからです。なにかをはじめようと思ったら、とりあえず本屋にいけばなんとかなると思いました。
大事なことは「わからないこと」をそのままにしなければなんでもできる、ということです。「わからない」というだけだから、わからないのです。わからなかったら調べればいい。ただそれだけでなんでもできるんです。

ぼくは会社を作り、人を雇うことになりました。
でも「生まれてはじめてやること」というのは、なかなかうまくいかないものです。
どんどんどんどん人が辞めていきました。悲しくなりました。なぜだろう。きっとぼくがリーダーなのに、 ちゃんとしていないからだと思いました。ちゃんとしなくちゃいけないんだろうなと思いました。
だから髪の毛をカチカチにかためて、びしっとスーツを着て仕事をはじめました。

そしてちゃんとしようとしたぼくは、だんだん「知らないことは、恥ずかしいことだ」と思うようになりました。
だから知ったかぶりをして、憶測で話をするようになりました。そして知らない話題にぶつかるたびに、「そんなものは知る必要もない! くだらないことだ!」といって頭から否定するようになりました。
間違えることは恥ずかしいことだと思っていたから、どんな間違いも認めなくなりました。よくわからない事柄についても、なんでも決めつけでものをいうようになりました。

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好奇心を“天職"に変える空想教室

植松 努
サンクチュアリ出版
2015-10-26

この連載について

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植松努の空想教室

植松努

ー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるー 北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。夢見る経営者が涙まじりに訴え、TEDxで話題となった感動スピーチを書籍化。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていた...もっと読む

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コメント

sayu_on_a_diet めっちゃいい記事。 https://t.co/g86GsENh6C 約1ヶ月前 replyretweetfavorite

ktgPsEXKHmcStjD cakesの連載からです。とてもいい話を聞けました。『』|植松努 @_1709400984622 |植松努の空想教室 https://t.co/fgyzsjV7Au 約1ヶ月前 replyretweetfavorite