売れそうだと思うものが売れない理由

ーー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるーー北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていたことを、「工夫」によって次々と実現させていく著者の姿勢と、素朴で力強い言葉に心を揺さぶられます。『好奇心を“天職”に変える空想教室』(サンクチュアリ出版)より全文公開(毎週土曜日更新予定)。

ぼくは名古屋の会社をやめた後、 北海道に帰りました。
故郷の赤平という町は、昔、石炭を掘っていた町です。
今は掘っていません。6万人いた人が、1万1千人まで減った町です。
全然仕事がないからです。

そこで暮らす人たちはみんな 「不景気だからしょうがない」 とあきらめていました。
ぼくの父さんは誰も雇わず、ひとりで会社をやっていました。
石炭を掘るときに使う、特殊な機械を直す仕事をしていたのですが、炭鉱がなくなって、石炭を掘らなくなったからこの仕事がまるごとなくなりました。

しょうがないから父さんは、 当時普及しはじめた車の部品を直す仕事をはじめます。
この仕事でいっときはこの地域で一番の腕前になりました。
ところが、やがて壊れた部品は、壊れた中古車から外したものとまるごと取り替える時代になり、とたんに「車の部品を直す」という仕事もなくなりました。

そこでぼくは父さんと一緒に、リサイクルという仕事で使うマグネットを作りはじめました。
ゴミの中から鉄くずを取りのぞくために使うマグネットです。
そして今では不思議なことに競争相手がおらず、植松電機のマグネットは、日本中で、そして世界で使われています。

本当に不思議です。マグネットの作り方は誰もが知っているはずです。誰もが小学校のときに習います。釘に電線を巻いて、 電気を流した記憶がある人もいるでしょう。
そのマグネットをただ“でっかく”しただけなのです。
みんなマグネットは知っています。
それなのに、なぜ植松電機のマグネットを真似する人がいないのでしょうか。

それは発明したからです。
発明をすると、小学校で習ったことで会社が作れます。だから発明はした方がいいです。
今からこっそり、みなさんに発明のコツを教えます。これでみなさんも発明で食えるようになるかもしれません。
発明のコツは簡単です。
発明のコツは、ぼくが大好きな『トムとジェリー』の中に隠されていました。

ねこのトムが、ねずみのジェリーをつかまえます。
そしてトムが、ジェリーをどうしてやろうかと考えるとき、頭の上の吹き出しにボーンと“悪魔のトム”があらわれます。
そして「ひどいことしてやれよ」とろくでもないアドバイスをします。
すると今度はまた頭の上にボーンと“天使のトム”があらわれて、「そんなことしちゃダメだよ」というやさしいアドバイスをしてくれます。
人の心の中には必ず、こういった“こわい心”と“やさしい心”というものが両方存在します。
そして、自分自身とこわい心とやさしい心、この3人で話し合いをすることができます。
なにか不都合なことが起きたとき、この3人でしっかり話し合いをすることが、発明の良いきっかけになります。
ところがいざ話し合いをしようと思っても、 「うぜえ」「むかつく」「意味なくね?」 3人ともこんな言葉しか知らなかったらどうなるでしょうか。

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好奇心を“天職"に変える空想教室

植松 努
サンクチュアリ出版
2015-10-26

この連載について

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植松努の空想教室

植松努

ー忘れかけていた夢がとめどなくあふれてくるー 北海道の小さな町工場から、幼いころからの夢だった「自分のロケット」の開発へ。夢見る経営者が涙まじりに訴え、TEDxで話題となった感動スピーチを書籍化。誰もが「どうせ無理」だとあきらめていた...もっと読む

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コメント

10ricedar やっぱり小山さんは知られていないってだけじゃないかな!しらんけど #小山コータロー 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

iiikagen “いやなこと”に出会ったら、捉え方でいい方向にも悪い方向にも変わるんですね。何故だろと考えること、大事😊 約2ヶ月前 replyretweetfavorite