ぼくは今、北海道の真ん中へんにある、赤平(あかびら)という町で小さな工場を経営しています。
その工場でぼくはロケットを作っています。
誰かに頼まれて、部品を作っているわけではありません。
ロケットをまるごと作って、自分たちの手で宇宙に打ち上げているのです。
人工衛星もまるごと作って打ち上げています。その人工衛星は宇宙で立派に役目を果たしました。
それからぼくの工場には大きなタワーがたっています。
このタワーは宇宙に似た無重力状態を地上で再現する実験装置で、NASAとドイツとぼくの工場にしかないものです。世界にみっつしかないものが、うちの工場にひとつあります。
どの部品も、どの装置も売っていないものだから、自分たちで工夫して作りました。
そうしたら今では日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)が1年の3分の1くらい、ぼくの工場まで実験しにきてくれるようになりました。実験装置がうちの工場にしかないから、うちの工場にくるしかないんです。
おかげでぼくはずっと憧れていた毛利衛さんや、はやぶさを作った川口淳一郎さんとも仲良くなることができました。
NASAの人もきてくれるようになりましたし、1年間に約1万人以上の学生が見学にきてくれるようになりました。ぼくの住む赤平の人口はたった1万1千人です。とってもうれしいです。
なんでこんなにいろんな人がきてくれるのか?
それはたぶん、ぼくたちが自由に「宇宙の仕事」をしているからだと思います。
ぼくたちは宇宙開発をしていますが、政府や企業から開発費をもらったりせず、自分たちで稼いだお金だけで勝手にやっています。
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