産後はフリーランスとして活動していくことを決めたカワグチ。
妊娠中、「低置胎盤」と診断され、安静令で寝たきりでしたが、
出産直前に、「低置胎盤」ではなくなり、自然分娩で産むことが決まりました。
生まれる前から、夫と赤ちゃんの名前は決めていました。
お腹にいる頃から、「ソーちゃん」と、名前を呼んでずっと話しかけていました。
それはそれはもう、躊躇いなくベラッベラ話しかけ続け、アスリートなみに出産のイメトレをしていました。
側から見たら怪しい人だと思います。
その気持ちが赤ちゃんに伝わったのか、どうなのか分かりませんが、
土曜日の朝に陣痛が来ました。
「ズキン……………………ズキン……………………」
病院に電話をして確認すると、
「陣痛が15分置きになったら病院に来て下さい」と言われました。
この時の陣痛の痛みは、少し重い生理痛くらいでした。
「出産前に焼肉を食べたくなる」と言う噂がありますが、私の場合、本当でした。
陣痛が始まってから、急にお肉が食べたくなりました。
やはり本能的に、命を産むと言う大イベントに体が肉を欲していたのかもしれません。
ステーキを平らげて、家でゆっくり過ごしました。
そして夜を迎えた頃…
「ズキン……ズキン……」
陣痛が15分感覚になりました。
タクシーを呼んで、夫と一緒に病院へ向かいました。
記念撮影ができるくらいの余裕がありました。
病院について、診察してもらうと…
本格的な陣痛が始まるまで、待合室と言うところに通されました。
そこには、一人のママがいました。
同室の妊婦さんは、すでに陣痛が来ている状況で、
私の入れ替わりとともに分娩室に向かいました。
ーと、思っていた6時間後ー
ついに私も本格的な陣痛が来ました。
数時間前に比べると痛みの感覚が短くなり、比べようにならないくらい大きくなりました。
痛みに狂う私の横で、うろたえるしかできない夫…。
正気ではいられない痛み…!
助産師さんが駆けつけてくれました。
担当の助産師さんは、「前世天使してました?」と思うくらい、優しい人でした。
不思議なことに、天使の助産師さんに声をかけられるだけで痛みが和らぎました。
しかし!
そんな時間は長くは続きませんでした。
なぜなら…!
この日は出産ラッシュで、天使は忙しく、妊婦で取り合い状態!
天使が去ったと、夫が、助産師さんの真似をして摩ってくれましたが…
痛みは和らがない!!
この痛み…!この痛みを例えるならぁ…!
ハンマーで腰を殴られてるような痛み…!
あとは他にもそうだな…
橋から落ちたり、車にぶつかったり…あ、みんなはそう言う経験あんまりないかな?
骨折した時のMAXの痛みは、長く続くことはないと思います。
それでも痛いし、辛いし、大変だけど。
しかし!出産の痛みというのは…
「「いつ終わるのかわからない!!!」」
と言う、不安が大きいのです…!
痛みで悶えていると、夫が申し訳なさそうに言いました。
この瞬間、痛みの中で私は閃きました。
これはチャンス…!
今なら願いを叶えてもらってもいいのではなかろうか!
それほどの痛みを今、私は乗り越えているところなんだから!
私は想いを叫びました。
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