cakes読者のみなさま、こんにちは。
そもそも、焦げ目好きはSの気が強いのでしょうか。肉でもデザートでも、攻めすぎてちょいちょい焦がしちゃいます。こんがり焦げ目をつけるのとこんがり焦げちゃったの差は、プロのすっぴん風メイクと本当にすっぴんぐらい違うわけで。すっぴん風メイクは狙い通りの美しさですが、本当のすっぴんはすっぴんでしかないという……。
自分一人なら食べてしまうまで。ですが、人に出す料理を焦がしてしまったときのダメージといったら。目の前の黒い現実を見つめながら、脇が甘い自分にため息つきつつ、がっかりの波にザッパーンと思いっきりさらわれていきます。なぜお前はタイマーをかけないのだ、愚かものめが、という内なる声を聞きながら。
先日、友人を呼んで食事をしたときもそう。締めのデザートでりんごのレイテクレームグラタン(ご興味ある方はこちらをどうぞ)を作ったら、またやってしまいました。あとちょっとこんがりさせようと思いつつ話に夢中になっている間に、オーブンに入れていたそれは……。友人達はみな慈悲深い大人なので、誰も指摘せずにあっという間に証拠物件を飲み込んで隠滅してくれたのですが、あの黒い残像が、未だに記憶から消えません。
というこんがり失敗エピソードのあとですが、今回も秋は焦げ目の精神で、恐れずにこんがり料理をご紹介します。使う食材は前回に続き、寒い時期が旬の長芋。長芋と豚肉のかりかりスパイス焼きです。かりっと香ばしく仕上げるにはちょっとしたポイントがありまして、それはタイマーをかける、ではなく、焼く直前に素材の表面に小麦粉をまぶす、です。粉をまぶすことで素材の水分を閉じ込めると同時に、油で加熱したときに香ばしさが加わります。どうして片栗粉じゃないのか、それは小麦粉にはタンパク質が1割ほど含まれているので、加熱したときに独特の香ばしさが出るからです。片栗粉がだめなのではなく、香ばしさを出すなら小麦粉の方がなお良し、ということ。だから片栗粉しかない場合は片栗粉でもいい。でも、どっちかなら断然小麦粉。
それから、粉をまぶすのは必ず焼く直前に。まぶしてしばらく置くと、素材から出る水分で小麦粉がべたべたしてきて、その状態でかりっと焼くのは難しい。だから、粉をまぶすのは焼く直前が鉄則です。
粉をまぶした長芋は、外がかりっと、中はほっくり。豚肉はより水分が保たれてジューシーに仕上がります。そして、これは焼き立てが香ばしさの頂点ですから、ビールやワインなどを冷蔵庫に確保して、いつでもばっちこいの状態で料理をはじめてください。
では、パパッと作っていきましょう。
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「長芋と豚肉のかりかりスパイス焼き」
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