前々回の記事では、はじめてのデートに使える「質問のコツ」を、前回の記事では、さらに仲を深めるのに大切な「上手なさらけ出しのコツ」をお伝えしました。今回は、あなたが「相手にとっての特別な人」になるための会話の秘訣をご紹介します。
結論から言いましょう。それは「プライベートな質問をする」ことです。それはその人の「生い立ち」だったり「家族構成」だったりするかもしれません。もしかしたら「仕事へのこだわり」かもしれませんし、「ずっと心に抱えているトラウマ」のこともあるでしょう。そういう質問を投げかけること、それがあなたが「特別な人」になる方法です。
でもここまで読んで、ちょっと待って、と思ったあなた。大正解です。
「そんなプライベートな質問をズケズケとしたら、嫌がられるんじゃないか?」。そうです、何の準備や前段階もなしにプライベートな質問をしたところで、嫌われたり変な人だと思われたりするのが関の山ですね。
では、相手の心に踏み込んでいくためにはどういう質問が正解なのか。いつもは僕が接客したケースをお伝えしていますが、今回は僕自身が会話によって、まるで「接客」されたかのように、心を開いていったお話をしたいと思います。
「あなたが大切にしている言葉を7つ教えて」
僕が15年以上「接客の師」と仰いでいる、ある女性がいます。その人とは僕が21歳のとき、街場のカジュアルなバーカウンターで出会いました。
当時の僕はお酒にハマり始めたばかりで、バーのメニューをわざわざ出してもらっては、そこに書かれたカクテルを上から順番に注文するようなことをしてたんですね。
ある夜、マティーニを飲んでいると、その女性は店に入ってきました。夜中に近いその時間、他にはお客様はいませんでした。
そうしたら、めったにお客様同士を紹介しないマスターが、その日は珍しく話しかけてきたんです。「こちら、○○ちゃんで、僕と10年来の友達でさ。あ、この男の子は黒ワインくんって言って最近よく来てくれてるんよ」。年上のその女性と軽く会釈を交わすと、彼女は僕に聞いてきました。
「ねぇねぇ、お尋ねしてもいいでしょうか? それは何を召し上がっていらっしゃるのかしら」
学生の僕はそんな丁寧なものの言い方に少し戸惑いながらも、「マティーニです」と答えました。「素敵なものを飲んでらっしゃるのね」と彼女はにこやかに返しました。二言三言交わしたあと、急に彼女はこう切り出したんですよね。
「今のあなたが大切にしている言葉を、7つ教えて」
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