しゃべりすぎて自滅してない?

ここはカフェ「しくじり」。限られた客のみが入店できる会員制のカフェ。
ここでの通貨はしくじり。客がしくじり経験談を披露し、その内容に応じてマスターは食事を振る舞う。 マスターの小鳥遊(たかなし)は注意欠如・多動症(ADHD)の傾向を持ち、過去にたくさんのしくじりを重ねてきた。
しかし“ある工夫”で乗り越えてきた不思議な経歴の持ち主。過去の自分と似た「会員」のため、今日もカウンターに立つ。
そんな奇妙なカフェのお話。

(初回はこちら)(記事一覧はこちら

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(カラン、コロン〜♪ カラン、コロン〜♪)

顔を真っ赤にしたりんだがカフェ「しくじり」へ入店してくる。

りんだ 「……小鳥遊さん…ちょっと休ませてください…ヒック」

小鳥遊 「おやおや、りんださんこんばんは。かなりお酒を飲んでいるようですね」

りんだ 「飲みながら先輩に相談してたら、ずーっと私ばかり喋って飲んで…ウップ」

小鳥遊 「しくじりの香りがプンプンしますね。フフフ。まずは落ち着いていただいてから、りんださんのしくじりをじっくり聞かせていただきますね」

りんだ 「ありがとうございま…ヒック」

****

りんだを席に案内して、湯気の立つ温かい飲み物を準備する小鳥遊。

小鳥遊 「どうぞ、しじみのお味噌汁です」

りんだ 「ありがとうございます。しじみのお味噌汁……酔い覚ましに効くんですよね」

小鳥遊 「ええ、普通は二日酔い対策なのですが、ないよりマシかと思いまして」

しじみのお味噌汁を飲み、次第に落ち着いてくるりんだ。

りんだ 「少しですが、落ち着きました……ありがとうございます」

小鳥遊 「いえいえ。こんなに酔うほどまで飲んで、深刻な人生相談だったんですか?」

りんだ 「いえいえ、相談自体はそこまでではなかったんです。最近アルバイトで入ってきた数人をまとめる必要があって、そのためにはどうしたらいいかっていう相談で…」

小鳥遊 「おお、早くもチームのリーダーになられたのですね」

りんだ 「そこまでじゃないんですけどね。みんなやるべき仕事をよく把握してくれてるし……」

小鳥遊 「では、なぜここに?」

りんだ 「せっかく先輩がアドバイスしようとしてくれたのに、先輩が口を挟めないくらい私が喋ってしまったんです」

小鳥遊 「話せただけでも、良かったのではないですか?」

りんだ 「いえ、私は先輩の意見が聞きたかったんですー!」

小鳥遊 「なるほど。でしたら、もったいないことをしましたね」

りんだ 「もとから、『先輩の話を聞きたいんです!』って私から誘ったのに、一方的に喋ってしまって…。途中から先輩の顔も曇る曇る」

小鳥遊 「りんださんのように話が上手な方は、話しすぎてしまう悩みが多いですね」

りんだ 「そう! 話しすぎるんです! 考えてみたら、私は話しすぎて失敗することが多いんです

小鳥遊 「そうですか。例えばどんなときにそう感じましたか?」

りんだ 「ええと…そう! 入社面接。私、一次面接で10社落ちたんです。そんなに変なことしてないのに」

小鳥遊 「なるほど」

りんだ 「今思うと、ちょっと話しすぎたなと思ってます。でも、面接って自分を売り込むところじゃないですか?」

小鳥遊「そうですね」

りんだ「『今までに打ち込んだことはありますか?』って言われたら、『高校時代にスキーをしていて、すごく楽しかったんですけど、ちょっと怪我をしちゃってから体のケアに興味が向いて、そうしたらちょうどマインドフルネス瞑想が流行りはじめて…えーっと、質問なんでしたっけ?』みたいな感じになっちゃったんです」

小鳥遊 「たしかに、質問した方も質問内容を忘れそうですね」

りんだ 「相手に伝えなきゃ! って思って、思いつくままにどんどん話しちゃうんですよねぇ…あ、それと!」

小鳥遊 「どんどん出てきますね(笑)」

りんだ 「仕事でも同じなんです。聞かれたこと以外もつい話しちゃうんです」

小鳥遊 「例えばこんな感じではないですか? 」

りんだ「ん?」

小鳥遊「『加藤商事さんに見積書送ってくれた?』って聞かれたら『いやもう大変だったんですよ、見積の金額が決まらなくて! だから飯塚建設さんに出した見積書を引っ張り出して参考にしようとしたら、その作成者が私の前任の松崎さんだったんですよー!』 みたいなやりとりでしょうか?」

りんだ 「……まさしくそれです。小鳥遊さん、隠れて私を観察してました?」

小鳥遊 「いえ、私もそのタイプだったので、経験からお話したまでです」

りんだ 「小鳥遊さんのいうとおりの展開で……それで、『見積書は送ったのか、送ってないのかどっちなんだ!?』って怒られる始末です」

小鳥遊 「きっと面接でも、面接官は話を把握するのに困ったでしょうね」

りんだ 「しじみのお味噌汁のおかげか、酔いが覚めてきました。 小鳥遊さんだったらどうしますか?」

****

小鳥遊 「今日は2つのことをお伝えしようと思うんです。 1つ目は、まず『はい/いいえ』で答えること。 2つ目は、『しゃべり終わりを意識する』こと。 なんとなく想像つきますか?」

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カフェ「しくじり」へようこそ

小鳥遊 /りんだ

発達障害でありながら一般企業に勤める小鳥遊(たかなし)さんが、カフェのマスターに扮して仕事の悩みに答えるストーリー連載。「安心して仕事ができるようになる、安心して会社に行けるようになる」を目指す、世界でいちばん意識低い系のビジネス連載です!

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mo_mo_no_uchi 「沈黙は金」ってよく言うけど、ほんとソレ。 @sanctuarybook @fta7 9日前 replyretweetfavorite

alexandre_ishii 30社連続で不採用だった僕が、話し方を変えただけで内定をもらえた #SmartNews https://t.co/UyPX9nE19C 12日前 replyretweetfavorite

yukithehope たった30社でお金がもらえる記事になるのかという感想しかない。個人的には3桁書類で落ちてから語ってもらいたい。 30社連続で不採用だった僕が、話し方を変えただけで内定をもらえた #SmartNews https://t.co/JJgkgR2Jbd 13日前 replyretweetfavorite

HelloNeuWorld 30社連続で不採用だった僕が、話し方を変えただけで内定をもらえた #SmartNews https://t.co/sTbxVtWZhd 13日前 replyretweetfavorite