前回の記事で、はじめてのデートで大切な「質問のコツ」をお伝えしました。相手の興味があることを事前に調べておき、それを掘り下げるような質問をしていく。そのおかげで会話が弾み、次回の約束ができたとします。さあ、次のデートに挑もうというとき、2回目も同じ準備で臨んではダメです。
もちろん、相手に興味を持って質問をしていくというのは、初回のデートに限らず大切なことです。とはいえ、質問ばかりでは仲は深まりません。愛情というのは、お互いを知ることで、積み重なって深まっていくものだからです。
仲を深めるのによく使われる方法として、「自己開示」があります。自分のプライベートな情報を相手に伝える、という手法ですね。一般的には、自己開示をすると「大事な話をしてくれたのだから、私も自分のことを打ち明けてみよう」と相手も思うそうです。
なるほど、と自分のことを話してみようと思ったあなた、ちょっと待ってください。
自己開示って上手にやらないと、「俺、年収○○万円なんだよね」みたいなただの自慢話になったり、「何度も騙されて壺を買ったことがあって……」のような相手に引かれかねない情報を伝えるだけで終わってしまったりします。
上手に自己開示をするには、ポイントが2つあるんです。それらを抑えていれば、相手はあなたに強い親近感を抱くようにもなります。2つのポイント、まずは実例からどうぞ。
ソムリエが「ワインのことは、よくわからない」と接客する理由
ある日の接客のお話。20代後半くらいの女性同士のテーブルでした。何かのお祝いにディナーにいらしたようです。
「ドリンクのメニューをいただけますか?」と言われたのでメニューをお持ちして様子を伺っていると、ひとしきり内容は見たものの「どうしよっか」と話している様子。メニューは見ているようで見ていないような、そんな感じでした。
僕と目が合ったのでにこやかにオーダーを伺いに行くと、こうおっしゃったんですよね。
「すいません、ワイン飲みたいとは思うんですけど、私達ワインのこと全然知らなくて……」
あらあらそれは僕の役目ですね、と張り切る気持ちが溢れながらも、ワインの提案をする前に、ちょっとくだけた笑顔と共に、よくこんな一言を入れていました。