リハビリとしてのラブコスメ

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、女性の性や恋愛について考えるこの連載。今回はラブコスメ、いわゆる女性向けのアダルトグッズについてのお話です。ラブコスメの会社に短編小説を寄稿した森さん。アダルトグッズは快感目的だけではないと考えます。

私事だが、LCラブコスメの公式サイトにて短編小説を書かせていただいた(『わたしたちのラブストーリー』)。『女性が運営するラブコスメ、セクシャルヘルスケアのLCラブコスメ』というのがブランドのキャッチフレーズで、一見イロモノと誤解をされそうだがそうではない。女性の身体と性を真面目に考えているので、私も仕事を引き受けた次第。

リハビリとしてのアダルトグッズ

とはいえ、アダルトグッズも扱っている。普通のコスメの中にさりげなく、アダルトグッズも組み込まれているのだ。その佇まいは実につつましい。で、私はアダルトグッズの使い方を小説にした、のではなく、アダルトグッズに行きつくまでの真意を書いた。アダルトグッズって快感目的だけじゃないんだよ、というのを説きたかった。

ここまでで5回もアダルトグッズと言っている。何回も言えばいやらしさも緩和されるさ、ってことで、いやマジでアダルトグッズっていやらしいもの(だけ)ではないのだ。直接的には身体に作用するけれど、真の快感は身体だけでは得られない。内面のコアな部分にふれるお手伝い、それがアダルトグッズで叶う(かもしれない)。

先日、「女性に脳イキさせてあげたい」と語っていた男性のブログを読んだのだが、脳イキって女性側の問題なので男性が一方的に「させてあげたい」と願っても難しいだろう。その男性に女性が心を丸ごと委ねていれば別だが、一方的に脳イキレベルまで高めるのは無理だ。

身体もしくは精神面でコンプレックスがあるとか、トラウマがあるとかで、恋愛に進みたくても進めない女性がいる。恋愛に発展しても、性交渉で躓いてしまう女性も、セックスしても苦痛だけで、結果遠ざかってしまう女性もいる。そうでなくても、「胸が小さいね」「締まりが悪いね」「ゆるいね」etc、男性の心ない一言で(男性側が照れや羞恥で言ってしまったとしても)セックスに踏み切れなくなった女性もいる。そんな女性達がもう一度恋愛してみよう、と思えるような、リハビリとしてのアダルトグッズであってほしいのだ。勿論、性技を極める目的で使うのも良し。

身体と心は拮抗していると思うのだ。だから、身体がほぐれれば(感じれば)心もほぐれる(感じる)。まず身体に作用させて、「感じる」感じを皮膚に覚えて(思い出して)ほしい。「感じる」「気持ちいい」に罪悪感を持つ女性(時に男性も)は多いので(幼少期、親に自慰行為を見られて咎められたとか、逆に親の自慰行為やセックスを見て咎められたとか)、そこに自らOKサインを送ってみるのだ。

恥ずかしいと思う気持ちもわかるけれど

アダルトグッズを買うのも恥ずかしい、と拒否っているあなた。今はかなりファッショナブルでそれとわからないアダルトグッズも多数あるんですよ。普通にオブジェとして飾っていても怪しまれないし、なんならクリスマスのオーナメントにできるほどデザインのクオリティは高いのだ(アダルトグッズのクリスマスツリーがあったらいいのに)。

私は会社の回し者ではないのだが、日本人の繊細なセンスすごい、とうならずにはいられない。ていうか、これはアダルトグッズに興味がある女性が増えている(でも今まで買えなかった)象徴ではないか。「これ、美顔器なの」としれッと言えちゃうグッズの多いこと多いこと。

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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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