親からの性の呪縛を断ち切りたい

今回、牧村さんのもとには「親からの過干渉・過保護により、今では恋愛がすっかり怖くなってしまった」という内容のおたよりが届きました。「私はどこから直していけばいいのでしょうか」と悩む相談者さんに対して、牧村さんは悩みの本質を解き明かしながら、相談者さんに具体的なアドバイスをおくります。


※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。/バナー写真撮影:田中舞 着物スタイリング:渡部あや

傷つかないで済むように、従順なふりをしていても、傷ついてるじゃんもうすでに。開き直りで、傷口閉じて。

毎週水曜朝10時、「ハッピーエンドに殺されない」。 読者の皆さんがお寄せくださった相談文をもとに、「自分の人生の物語を書いていくペンを自分の手に取り戻そう」ってことで、上からアドバイスはしないけど隣で一緒に考えたいというコンセプトの人生相談連載です。記事URLを添えてtwitter・facebook・はてなブックマーク・ブログなどでご自分の意見を書いてくださる読者さんもおられ、多い時は数百人で「一緒に考える」ってことができるので、毎週楽しみにしています。

ただ、多くの人に見られることを意識してかせずか、「すごい謝ってる相談文」も少なくありません。「自分のせいです、これも悪かったんです、あれもできてないんです、長文乱文申し訳ありません、でも……苦しいんです」っていう。

そういうのを読むと、なんと言うか、うれしくなります。「自分が悪いんだから、苦しいだなんて言っちゃいけない」って思わされてる人が、やっと「苦しい」って言えた。という、スタート地点だから。

「自分のせいだから」と黙ってしまうことも、「あいつのせいで」と恨みに囚われることも、もうやめたい。自分の人生の新章、自分のペンで書いていきましょう。

今回ご紹介するのは、「過保護・過干渉な母親のもと、恋もおしゃれもすることのない、色気づかない“娘ちゃん”をやらされてきた」というおたよりです。

親からの性の呪縛(?)から離れるにはどうしたらいいか悩んでいます。

私の親は、いわゆる過干渉・過保護な人で、幼少期から、恋愛の話はタブー、色気づくのはみっともないみたいな謎の空気がありました。


ドラマは見れないし、ヘアアイロン欲しいとか、中学時代の学生用下着はもう嫌だとかもなかなか言えませんでした。


決定的におかしいと思ったのは、大学1年の時で、初めて異性と体の関係を持ってしまったとき、母がなぜかその事を知っており、「髪を気にしたり、男が出来たのがすぐ分かる、どこ人なのか」と問い詰められたことです。 相手がヤリモクだったことより、親にいまだに監視されていたことのほうがショックでした。

前置きが長くなってすみません。もう大人だし、親の言うことなんて気にしなくても良いのは分かっているのですが、例えば、私は可愛らしい髪型やファッションが好きなのに、いざそうすると、ワクワク感より謎の罪悪感とか、ふさわしくない、変だという気持ちになって、疲れてしまいます。 また、恋愛対象は男性なのですが、「あの男性かっこいい!魅力的!」とか思うのも言うのも恥ずかしくて、その反動(?)で女性アイドルを追っかけたり、「可愛い女の子好き」になったり…(純粋に可愛い女の子に憧れもありますが)

1番良くないのは、中学時代から今まで、ありがたいことに、好きな男性にアプローチしてもらえることは何回かあったのですが、自分も好きなのに、反射的に逃げたり、好きな気持ちを隠したりして、相手を傷つけてしまったことです。今では恋愛がすっかり怖くなってしまいました。

もちろん、全てが親のせいではなくて、自分に自信がないとか、色々あるとは思います。 親のせいにするのは甘えだと分かっているけれど、もっと良い家庭で、仲の良い夫婦のもとに生まれていたらと思うと、悔しくて悲しくて、、私はどこから直して行けばいいのでしょうか。

まとまりのない長文、大変失礼しました。

(全文そのまま掲載しました)


お話くださってありがとうございます。 いま相談者の方がお話くださった内容の一部を、もう一度、下記に抜粋します。

言えませんでした
ショックでした
すみません
恥ずかしくて
ありがたいことに
アプローチしてもらえる
怖くなってしまいました
自信がない
甘え
私はどこから直して行けば
大変失礼しました

……どうでしょうか?

わたしは、「“可愛い女の子”だなあ」、と思いました。

「お母さまの望む通りの“可愛い女の子”だなあ」、と。

恥じらい、はにかみ、受動的、言い返さないし、謝るし。

口紅をひかぬ唇で、意見を言わずに従順に、ママの言うことを聞く可愛い女の子をやることであなたはどうにかママの管理下を生き抜いてきた。けれど、子どもは「育てられる」だけのものではない。育つんです。自ら。

ママの言うことを聞く可愛い女の子として育てられる日々の中でも、あなたは、確実に育ってきた。自ら、育ってきた。別に、もうママに可愛がられなくても生きられるところまで。

それなのに、あなたの中に棲みついた、ママの残像があなたを責める。

私は可愛らしい髪型やファッションが好きなのに、いざそうすると、ワクワク感より謎の罪悪感とか、ふさわしくない、変だという気持ちになって、疲れてしまいます。

娘ちゃん、そんな格好まだ早いわ。似合わない、ふさわしくない、変よ、男が出来たの?……ママを、置いていくの?


置いていきましょう。

実際にあなたがそういうことを言われ続けているならば、そこに止まっているとお母さまご自身も「娘ちゃんを指導するママの私」でいることから離れられないんですよ。また実際にあなたがもうそういうことを言われていないならば、あなたの足を止めているのは、お母さまでも、あなたでもない。過去、でしかないんです。

「娘ちゃんを可愛いお人形さんみたいに扱うママ」
「ママの可愛いお人形さんにさせられ続ける娘」

こういう相互依存関係がなぜ続くかというと、まず根本的に、ある種の男性が可愛いお人形ちゃんを求めている現状があるからです。マトリョーシカってあるでしょ。人形の中に人形の中に人形の中に人形……ってなってる、入れ子構造の人形。あれです。


欲望マトリョーシカなの。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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ohirune_BJ "こいつらのせいでこのまま死ぬの無理すぎん?という気持ち。生気。生気を燃やすために、… https://t.co/c1ciCKFfIx 13日前 replyretweetfavorite

granat_san 小学生の頃に『人形の家』を可愛い話だと誤解して買ったことを思い出した。 14日前 replyretweetfavorite

gibbous_leo ▶️ 根は深いけど、とりあえずザックリ切り捨てて行っちゃおう! というお話。 14日前 replyretweetfavorite