本連載の書籍化第二弾
11月10日発売です
他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。
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幡野さん、はじめまして。
僕は今年大学を卒業予定なのですが就職活動に失敗してしまいました。今の時点で内定が0個。そもそも受けた会社の数は10社しかありません。自分でも「何をしているのだろう」と途方に暮れています。
でも、どうしても駄目なのです。面接の会場に行くと全身も声も面接官に心配されるほど震えてしまって、うまく話せなくなってしまいます。人と話すことはそこまで苦手ではないし、友達も人並みにいる方だと思いますが、面接官と話すとなると圧迫感を感じてしまいます。結果は全て一次面接落ちでした。今は情けなくて家でぼーっとしながら、たまに泣いています。
毎日どうしてこんなことになったのだろう、と考えています。能力もお金も足りないから、人よりも必死に勉強して東京の国立大学に入ったのに、僕は東京で何も達成できていません。何も残せていません。苦しめば苦しんだ分だけ将来報われると信じてきたのに、今までやってきたことは全て無駄だったと思うと立ち上がることができません。
どんな言葉でもいいです。幡野さんは「自分に勇気を出させろ」なんて宣う人間は嫌いかもしれませんが、僕に勇気が出る回答をくださいませんか。このまま人生を諦めて引きこもったまま死んでいくのは怖いです。希望が欲しいんです。
(シゲ 21歳 男性)
「幡野さんは『自分に勇気を出させろ』なんて宣う人間は嫌いかもしれませんが」、う——ん、そうだなぁ、嫌いってほどではないんだけど、こっちの言葉をコントロールされてるみたいでわりと面倒くさいかな。
書籍にサインをお願いされることがあるんだけど、たまに「なにか言葉を書いてください」ってお願いされることがあるの。たぶん座右の銘だとか、格言みたいなものを期待しているとおもうんだけど、瞬間的に頭の中で「めんどくせ」っておもっちゃうから、サインの横に「めんどうくさい」って書いちゃうんだよね。
でも勇気をだしてお願いしてきているんだろうし、さすがに申し訳ないから「人生はめんどうくさい」ってそれっぽく書くんですよ。それもなんかネガティブな話みたいだから最終的に「人生はめんどうくさい、だけど生きる価値がある。」みたいにして、しっかり生きて死んだ人っぽい格言っぽいこと書いたんだよね。
そうやってのらりくらりと、てきとうに生きているだけだから、勇気のでる回答なんて期待しない方がいいよ。そもそもぼくはあなたよりせいぜい年齢がすこし上ってだけで、なにか上下関係があるわけじゃないんだし、そんな下手にでなくてもいいんじゃない?
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