高校時代二年近く付き合った彼の事が大好きだった。
頭はいいけど空気が読めなくて、社交的だけどちょっとウザったくて、女っ気がなくて 。
でも真っ直ぐに私のことを見てくれた、仲間内で揉めた時も、泥臭く私の味方でいてくれた、そんな所が大好きだった。
大学生になり、私たちは共に東京の大学に進学した。
それまで毎日会えていたのが急に会えなくなり、そして彼が元々あまり愛情表現が得意でなかったこともあり、愛されたい私は気持ちが冷めてしまい、入学1ヶ月で関係は終わった。
そして私は一目惚れされた同じ大学の男子と付き合う一方、彼とも友達として頻繁に連絡を取る仲であり続けたのだった。
友達として彼と話すのは本当にラクだし、楽しかった。相変わらず話は上手いし、思い出話にも花が咲く。
自称星野源(笑)の彼は、高校時代とは違ってオシャレな私服と整えられた髪で私と会うようになった。恋愛感情はもうないけれど、この人は手離したくないなと、ちょっと思ってしまった。
こうして1年が過ぎた頃、これまでの生活が一変することになる。
私の彼氏のDV、モラハラが露見し始めたのだ。馬鹿だった。
深夜に4時間理不尽に説教されても、能力が低いと馬鹿にされても、それは全部私のせいで、私の為を思って言ってくれているのだと思い込んでしまっていた。
初めて物を投げつけられて鎖骨に痣ができた時、私の何かが、キレた。
泣いて謝る彼氏、私の為を思ってやりすぎたと謝る彼氏の横で、私は呆然と元彼にLINEした。
「もう彼氏の横にいるのが辛い、別れたいが切り出せばまたキレられるかもしれない、誰でもいいからセフレが欲しい」
本当は誰でもいいわけない、私は元彼がセフレになってくれることを密かに期待していた、と、思う。
しかし彼は、自分ではなく、彼の友達の童貞を差し出してきた。
彼女もいないし、奪ってやってくれと。笑い飛ばされるように言われた。