第6回】タカラヅカなんて嫌いだ!!(った)<初日>

WEB系文化系女子okadaicこと岡田育による、カリカリのパンのはじっこのような味わい深い日常エッセイ。Twitterでも、よく宝塚歌劇団のことを話題にされる岡田さん。しかし、じつはヅカが嫌いだった? いったい何が彼女を宗旨替えさせたのか。今回は、特別に三週連続でお届けします。

 幼い頃、父方の叔母が宝塚歌劇に熱中していた時期がある。まだ祖父母が健在で生活も裕福だった頃で、彼女は学校を出て、いわゆる家事手伝いをしていた。居間のプレーヤーで時折『ベルサイユのばら』のレコードを聴かせてもらったものだ。アニメの主題歌とは異なる趣の甘い楽曲に心惹かれた。
 私の母は関西出身なのだが、この若い叔母の趣味をあまりよく言っていなかった。曰く、姑にあたる私の祖母が、嫁入り前の叔母に「悪い虫がつかないように」計画的にヅカにハマらせたのだと。お金持ちのお嬢さんが、そうやって女親公認の娯楽に湯水のように小遣いを与えられ、縁談がまとまるまでの期間を「女にウツツを抜かして」過ごす……そういう流れがあるものらしい。そんなものは「趣味」とは呼べない、というのが母の言い分だった。本当か嘘か知らないが、たしかに叔母は程なく見合い結婚をして、専門誌もレコードもパンフレットも、いっさいを手放してしまった。

 一度だけ、おそらくは結婚後の叔母に連れられて、東京宝塚劇場へ行った。池田理代子先生に心酔する小学生だった私は、宝塚といえばてっきり『ベルばら』を観せてもらえるのだと、当日の幕が開くまで、信じ込んでいた。でも、全然違う演目だった。その落胆が大きすぎて内容はまったく憶えていない。帰宅して「ちっとも面白くなかった……」とボヤく私に、母が言った。「そりゃそうよ、女だけの世界だなんて気持ち悪いじゃない。私はヤぁよ」。

 この反応に、私は腹の底から憤ったものである。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
ハジの多い人生

岡田育

趣味に対する熱量の高いツイートと時事に対する冷静な視点でのツイートを自在に繰り出すWEB系文化系女子okadaicこと岡田育。 普通に生きているつもりなのに「普通じゃない」と言われ、食うに困らず生きているのに「不幸な女(ひと)」と言わ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード