私はお坊さんとして修行生活を送っています。でも人間ですから、怠けたいときもあります。住職としての役割もありますし、会社の経営もしていますから、くたびれることもあります。
皆さんもそうじゃありませんか? 「やらなければいけない」と頭ではわかっているけれど、行動できない。何をやるのもめんどくさくて動きたくない……。最初の一歩が踏み出せず、行動に移せない人は、とっても多いみたいです。
「これじゃだめだ」と頭ではわかっているのに、なんとなくテレビをつけ、だらだらとスマホを眺める。大切な時間を浪費するばかりで、どんどん自分が嫌いになる。すると、手足を縛られたみたいに、ますます動けなくなる……。悪循環ですよね。
「嫌だな」って思っても、すぐ行動に移せば意外とできてしまうものです。行動に移すまでの時間が長くなればなるほど、そこにさまざまな感情が入り込んでしまって、行動できなくなります。もし、「何をどうすればいいのかわからない」「やり方がわからない」のであれば、すべきことと手順を明確にすべきです。
それでも動けないときは、感情や心を大切にしすぎているのかもしれません。現代人は特に、自分の考えや感情に重きを置きすぎている、そんな気がします。仏教に「身口意(しんくい)の三業(さんごう)」という言葉があります。私たちが日々どのように行動し、何を話し、そして何を思うか、その一つ一つを「業」と呼びます。生きるとは、 「身口意の三業」を毎日積み重ねることなんです。
ここで注目したいのは、三業の順番が「身→口→意」だということ。最初に「身」が来る、というこの順番こそ即座に行動するためのポイントなのです。「身→口→意」の順番ですから、まずは体から。心は優柔不断で、臆病者。頭は頑固で言い訳ばかり。あれこれ考えたり、文句を言う前に、行動を起こしてしまいましょう。
私たち人間は、人間である前に動物です。動物というのは「動く物」と書きます。行動するから、行動力が増していく。行動するから経験が積み重なって、心に自信と余裕が生まれてくる。体が先、心が後なんです。ここを勘違いすると、動きたいのに動けないというジレンマから、心がくたびれてしまいます。
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