わかる日本書紀

身内も部下も、気にくわない者は皆殺しです【第21代②】

ややこしい日本書紀をわかりやすく紹介した書籍『わかる日本書紀』シリーズ第3巻から、日本の正史を学ぶ連載。今回は第21代、雄略天皇が即位するまでのお話。

マヨワ、父の仇を討つ②

♦前回のお話→【妻の連れ子が恐い…って愚痴ってたら睡眠中に襲われた(第21代①)】

クロヒコは、疑われることを深く恐れて、ひそかにマヨワと相談して、隙を見て共に脱出し、ツブラ(円大臣)の屋敷に逃げ込みました。

ワカタケルは、使者を遣わして、引き渡しを求めました。ツブラ大臣(おおおみ)は、使者を介して答えました。
「思うに、人臣は、有事のときは王室に逃げ込むと、聞いていますが、君王が、臣下の家に隠れるのを、見たことがありません。今、クロヒコマヨワが、深く臣下の心を信頼し、私の家に来られました。差し出すに忍びません」
これを聞いて、ワカタケルは、さらに兵を増強して、再び大臣の家を取り囲みました。大臣が庭に出で立ち、脚帯(あゆい)※1を求めると、大臣の妻は、脚帯を持ってきて、悲しみ心を痛めて、歌を詠みました。

臣(おみ)の子は 栲(たへ)の袴を 七重(ななへ)着(を)し
庭(には)に立たして 脚帯(あよひ)撫(な)だすも

(※訳
臣下であるわが夫は
栲の袴を七重に着て庭に立ち
脚帯を結び整えている)

大臣は、戦の装束を整え終えて、軍門に進み、跪(ひざまず)いて拝礼して言いました。
「私は、たとえ死罪になっても、決して、皇子たちを引き渡せというご命令を聞くことはないでしょう。古人(こじん)が『匹夫の志も奪うことは難しい※2』と言ったのは、まさに今の私にあてはまります。ここに伏して願います。大君、どうか、私の娘カラヒメ(韓媛)※3と、葛城の家七か所※4とを献上して、罪をあがなうことをお聞き入れください」

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わかる日本書紀

村田右富実 /つだゆみ /村上ナッツ

『日本書紀』は神代から第41代持統天皇の時代までを扱った日本最古の歴史書です。しかし本文は漢文、全30巻と長く読解は難しいため、正史ながら読んだことのある人はほぼいません。そこで、劇作家が書くわかりやすい文章と、親しみやすいキャラクタ...もっと読む

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