おひとりさまの資産形成基礎講座 年金編

誰しもが不安に思っている、老後の資金問題。でも、その基本となる年金については、どのくらいもらえるか、どんな仕組みなのか、意外と知らないのではないでしょうか? 経済評論家の佐藤治彦さんが、年金についてわかりやすく解説します。


後のお金は4つから成り立つ

2019年に年金2000万円問題が起きる前から、何となく老後のお金の不安は多くの人が持っているものです。

何とかなる。誰かが助けてくれる。
そんな甘い考えを持っているおひとり様は少ないでしょう。
いまは夫婦でも、これからおひとり様になる人もいるでしょう。 死別したり、離婚したりしておひとり様になることもあるからです。
そんなおひとりさまの具体的なお金の話をしたいと思います。

老後のお金は、おおよそ4つのもので成り立っています。
ひとつは、厚生年金や国民年金などの公的な年金。
そして、自分で老後を考えて作り上げる資産形成。
また、お金が足りなかったら、働いて収入を得るということも可能です。
そして、最後は、相続などで親などから入ってくる資産です。

他にマイホームを持っている人なら、不動産の売却。貯蓄型の生命保険に加入されている方なら、生命保険の解約返戻金ということも考えられます。

よく老後の資金というと、公的年金ばかりを考える人がいますが、それ以外にもあるわけです。

何となく、年金だけでは足りないらしいから、自分でも老後資金を作っておかなくちゃいけないということは知ってます。
特に年金2000万円問題が起きてからは、自己資金を老後までに2000万円作っておかなくちゃいけないと思ってる人も少なくありません。
でも、老後にどのくらい年金をもらえるか知ってる人は少ないものです。
いくらもらえるのか分からないのに、老後のためにいくら貯金しようかと悩むのもちょっと変です。
つまり、あまりにも年金のことを知らない人が多いのです。
何で知らないのかというと、わかりにくいからです。
そこで、知っておいてもらいたい年金についてできるだけわかりやすくお話ししたいと思います。

まず、年金は保険料を払うときと、年金をもらうときがありますね。

2020年度の基礎年金は年額78万円

年金をいくらもらえるのかは誰もが気になるところです。
年金は原則として20歳から60歳までが払う時期です。
40年間、480ヶ月払います。これは、無職であっても、学生であっても「原則」払うことになります。

480ヶ月払うと、誰もが老齢基礎年金という年金をもらうことになります。
これは、2020年の場合で年78万円ほどです。

この金額は、年度が改まると物価水準などを考慮して改定されます。 ほかに会社員や公務員などの方は(第2号被保険者として)、厚生年金を払ったことがあるのを覚えているでしょう。
今は、1号や3号だとしても、そういう時もあったなあという人もいるでしょう。
え? 第2号被保険者って何? 1号2号って? 
そう思った人もおられると思います。
あとで説明しましょうね。とても大切です。
でも、まずは、この話を少し続けます。

公務員や会社員などで、厚生年金を払っていた人は、自動的に国民年金も払っていたことになっています。
そして、厚生年金を払っていたことがある人は、国民年金にプラスして、厚生年金、いわゆる「2階部分」も合わせてもらえることになっています。報酬比例部分と呼ばれる老齢厚生年金です。
こうした、公的な年金制度に10年以上、加入していた人は、人それぞれ金額は違いますが年金が出ることになります。
報酬比例部分は、それこそ報酬に比例するものなので、個々で大きく違います。

自分は何号被保険者か

さて、1号とか2号とかの部分をちょっと説明しますね。

第1号被保険者というのは、国民年金にのみ加入している人です。
第2号被保険者は会社員、公務員。
第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者です。
自営業者やフリーランス学生、農林水産業などの人たちは、国民年金だけの第1号被保険者であることが多いです。正確にいうと、第1号は、第2号でも3号でもない人が対象です。
例えば、会社員などであったとしても、会社が厚生年金に加入していないために、第1号被保険者である人も少なくなりません。
また、第2号被保険者の配偶者で、一定の収入のない人は第3号被保険者になることが多いです。
第3号被保険者は、毎月の国民年金の保険料を払う必要はありませんが、老齢基礎年金はもらえます。
ちなみに第1号被保険者が払う、毎月の国民年金の保険料は、2020年度の場合は、毎月1万6540円です。あなたは、第1号ですか? 2号? それとも3号ですか?

多くの人が1号だったり2号だったり、長い人生の中で変化しながら60歳を迎えるものです。

ここで、ここまでの話をまとめさせて下さい。

20歳以上の日本国民は年金制度に全員入らなくてはなりません。
それは3つに分かれていて、第1号被保険者は、自営業、フリーランス、学生、働いていない人など、第2号や第3号被保険者でない人です。第2号被保険者は、厚生年金に加入している会社員や公務員など。第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者です。

ここで注意してほしいのは、すでに説明しましたが、第2号だったり、第1号だったりすることがあることです。
例えば、大学や大学院で第1号被保険者だった。就職して第2号になった。55歳で退職して自営業者になったので第1号になったということもあるでしょう。もしくは、結婚して会社員の妻となったので第3号被保険者になった、ということもあると思います。

こうして60歳を迎えるわけですね。

そして、この年金の基礎は、国民誰もが対象となっている老齢基礎年金の78万円です。夫婦なら年156万円となるわけです。
しかし、全員が同じ金額をもらえるわけではありません。年金を払っていない人がいるからです。
例えば、480ヶ月のうち、1割の48ヶ月間、払っていないと、もらう年金も78万円の1割、7万8000円が毎年、減らされます。

年金制度に10年以上加入して、保険料を払っていれば年金はもらえるのですが、例えば、国民年金に40年間払う必要があるのに、10年分しか払っていないと、もらえる年金は4分の1になってしまいます。19万5000円です。足りません。

基礎年金は生涯もらえる。
が、もらいそびれないように気をつけておきたいこと

私や皆さんが年金をもらう年齢になった時に、いったい幾らの年金がもらえるようになるのかは誰にもわかりません。予想しかできません。
しかし、この老齢基礎年金は老後の生活な大切な基礎になる部分ですから、確実に確保しておきたいものです。
なぜなら、この年金は生涯もらえるからです。あなたが、80歳までしか生きられないとしても、120歳まで人生があったとしてももらえるものだからです。

特に女性の場合は、男性よりも長生きです。ですから、確実に確保してもらいたいのです。
僕が心配しているのは、知らないうちに年金を払っていなかったために年金を減らされてしまうというリスクです。
どういうことでしょうか?

多くの女性が第3号被保険者です。
今ならおおよそ850万人が第3号被保険者です。そのほとんどが女性です。
第3号被保険者なので、毎月の国民年金の支払いはしていませんが、払ってるのと同じようにカウントされます。
しかし、知らないうちに第3号被保険者でなくなっていることがあるのです。
それは、多くの場合は夫の仕事が変わることによってです。
例えば、夫が退職したり、転職や独立で第1号被保険者になった場合、第3号被保険者の資格は自動的に消滅しています。
自ら役所に届けて第1号被保険者になる手続きをしなくてはいけません。手続きをしないと、年金の支払いについてのお知らせも原則としてこないのです。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
おひとりさまの家計経済学

佐藤治彦

「普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話」「普通の人がケチらず貯まるお金の話」でシリーズほぼ12万部の経済評論家、佐藤治彦のおひとりさまと、将来おひとりさまになりそうな人が、直面する経済と生活の問題を真正面に取り上げて、その具...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

SatoHaruhiko #パワーベイ 先週金曜日のパワーベイ モーニングのザ・ターゲットのコーナーで年金の話が気になった方へ。文章でまとめてみたので、読んでくださると嬉しいです。今日、明日なら無料で全部読めます。 https://t.co/GJfwI1xWVz 約1ヶ月前 replyretweetfavorite