こんにちは。今回は特別編。リクエストフォームに寄せられた質問に答えます。日頃の料理の疑問を解消するヒントになれば。
レバニラ
『レバーソテーのにおいに及ぼす調理温度の影響』という論文が参考になります。この論文は低温と高温で、それぞれレバーを加熱し、臭みの強さなどを調べたもの。それによるとレバーは「180℃で短時間加熱」したものがもっとも臭みが抑えられる、とのことです。臭みが抑えられる仕組みは複合的ですが、脂質の酸化が抑えられるという理由が大きいよう。表面のメイラード反応によって臭みがマスキングされる効果もあります。
短時間で火を通し、さらに表面の焦げ目を増やしたいわけですから、薄切りにして表面積を増やすともに火の通り良くし、糖分を含む下味をつけてから高温の油(180℃)で揚げるのがもっとも最適な加熱方法といえます。薄切りにすればレバーのパサパサ感も和らぎます。豚レバー、鶏レバー、牛レバーに共通したポイントです。
これは中華料理店などで一般的に行われている加熱方法ですが、揚げ物がいやという場合は高温に熱したフライパンに広げて焼きます。あとの基本は以前ご紹介したニラ玉と一緒。薄切りにしたレバー200gに対してしょう油大さじ1弱と胡椒で下味をつけ、片栗粉大さじ2をまぶし、強火で焼き付けます。ニラを加えて、合わせ調味料をさっと絡めたら出来上がりです。
肉じゃが
多くの肉料理に玉ねぎが使われるのは、含まれる硫黄分とうま味成分(グルタミン酸)が肉の味を引き立てるからです。
肉じゃがの玉ねぎはいわば名脇役。存在を主張する必要はないかもしれません。むしろ、生かすべきはジャガイモです。肉じゃがはおそらく肉が今よりも高価だった時代にジャガイモに肉の味を含ませることで、嵩を増やしつつおいしく味わうための料理。ジャガイモが嫌いであれば食べる必要はないですが、周りに好きな人がいるとそういうわけにもいかないですよね。
あえて提案するとすればジャガイモが苦手な人は「ホクホクと喉につまる感じが嫌」という場合が多いので「豚肉じゃが」はどうでしょう? 豚バラ肉を使っている関係で長めに加熱しているので、ジャガイモも比較的しっとりしています。あるいは「すき焼きスタイルの肉じゃが」を選択し、玉ねぎと肉を中心に食べるというのも方法では。このレシピではジャガイモよりも肉のおいしさを優先しています。食べ物の好みは様々、落とし所や妥協点を探るのも料理の一つです。
ハンバーグ
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この連載について
「 おいしい」をつくる料理の新常識
食の博識、樋口直哉さん(Travelingfoodlab.)が、味噌汁、ハンバーグ、チャーハンなどの定番メニューを、家庭でいちばんおいしく作る方法を紹介します。どういう理由でおいしくなるのか、なぜこの工程が必要なのかを徹底的に紹介し、...もっと読む