きれいになる」って、自分の中に「きれいを見つける」こと

蘭ちゃんのターンです。今回の文章を読みおわって「どこまでが自分のオリジナルな意見か」を、自分自身で知ることはできるのだろうか、と思わず考えてしまいました。「分人」だったり「ペルソナ」だったり、それらには功も罪もあります。現代的な問いのひとつかもしれません。あ、キティちゃんのマグカップだ、と落ち着く連載第33回。毎週火曜日更新です。

サクちゃんへ

こんにちは。

サクちゃんの前回の日記を読んで、居ても立ってもいられなくなり、スーパーへぶどうを買いに行きました。確かに果物って贅沢品ですよね。特にぶどうや桃(ともに大好物)は高価で、どうも買うのを躊躇してしまいます。
でも思い切って買ったぶどう、すごくおいしかった。残りは冷蔵庫にしまって、明日の朝の楽しみにしようと思います。

サクちゃんの「自己満足」は、好きなものを食べることなんですね。
昔は食べることが苦痛だったのが楽しみに変わったと聞き、わたしも嬉しいです。そう言えば、初めてお茶したとき一緒にプリン食べましたね。あれ、もしかしてその日以来、わたしたち会っていないのでは?
ここでたくさん話しているので、いっぱい会っているような気がしていたけれど、実はちゃんと会ったのって数回なんですね。またプリン食べに行きたいです。

ー・-・-

わたしも、昔は食べることが苦痛でした。
というより、「食べる」ことは大好きだったはずなのに、「食べる」ことを自分に許さなくなったことがあったんです。

これは前にも少し書きましたが、高校生の頃にちょっと無理めなダイエットをしたことがあります。炭水化物を食べないという食事制限です。
食欲盛りの年ごろで運動部に所属もしていたので、そんな中で炭水化物を食べないのはかなり大変なことでした。カレーライスとかうどんとか菓子パンとか、大好きでしたから。
でもどうしても痩せたくて、ストイックに制限を続けました。結果半年で7キロくらい痩せたのかな? 目標体重はクリアしたものの、また体重が増えるのがこわくて、引き続き炭水化物はあまり食べずにいました。大学生になってからもそれは続いていたので、多分5年くらい続けたんじゃないでしょうか。

でも、今考えれば、もともとそんなに太っていたわけではないように思います。
それなのに痩せようと思ったのは、痩せればきれいになると信じ込んでいたからです。
なぜなら普段わたしが目にする、雑誌やテレビに出ているいわゆる「きれいな人」は、みんな痩せていたから。だから、きれいになるには痩せないといけないのだと思い込んでいました。

「きれいな人」のサンプルの傾向が、極端に偏っていたのだと思います。世の中には太っているからこそきれいな人や、筋肉質だからこそきれいな人ももいるはずなのに、そちらを知らず目が行くことがありませんでした。知らないということは、選択肢が狭いということです。わたしは「痩せる」という選択肢しか知らなかったんですね。

ー・-・-

この間、こんな話を聞きました。
「課題を解決すると、そこに経済が生まれる」
たとえば、自分でご飯を作るのが難しい人にお弁当を届ければ、そこで経済活動が生まれます。だから「課題」は悪いものではなく経済の「可能性」なのだ、という話でした。

なるほど、とてもポジティブな言葉だな、と思うと同時に、こんなことを考えました。
「もしかしたらわたしは、無意識のうちに『課題』を植えつけられている、ということもあるのかもしれない」

さきほどのダイエットの話がまさにそうです。
「痩せるべきだ」という課題を無意識のうちに植えつけられ、それを改善するためにダイエット本を買ったり、サプリを買ったり、ジムに通ったりする。課題を解決するための行動が、そのまま消費活動に繋がります。

それが本当に自分が解決したい「課題」ならいいのですが、誰かの利益のためにこしらえられ、思い込まされた「課題」であるということも、十分にありえるなと思ったのです。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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