海外にもいる「会社員は辛いよ」の人たち

マレーシアに移り住み、日本の常識とは違った価値観や考え方を発信している野本響子さん。今回は、マレーシアの働き方についてです。多くの人が会社員をしている日本に対して、割と気軽に起業する人が多いというマレーシア。会社員や起業に対する考え方も日本とはちょっと違うようです。

こんにちは!

マレーシアというと、働き方もさぞかしのんびりしてるのでは? って思われるかもしれません。確かにサービス業なんかを見ていると、実にゆっくり仕事している人が多く、朝出社すると、まずお茶飲んで……とやってたりします。

では労働時間そのものも短いかというと、一概にそうも言えません。

周囲には自営業で成功していたり、投資してたり、時間に余裕のある会社員もいます。しかし、特に会社員の中にはそうでない人もいます。

実は、マレーシアでも会社員はさまざまです。何しろ日系・外資系などいろんな企業が進出しており、働き方もさまざまなのです。

コールセンターのように5時キッカリで退社できる職場もある一方で、毎日の残業が恒常的な人もいます。週休1日の会社もあったりします。

今年のマレーシアのドラマ「Kampung People2(村の人々)」を見てたら、長時間労働するマレー系マレーシア人のサラリーマンが出てきました。上司から虐められて、大量の仕事で身動きもできません。

最近ではうつ病が増えてきたことも話題です。経済が発展し、会社員が増えるにつれ、だんだん人々のストレスが増えてくるのかな。都会人のストレス解消のためのリラクゼーション施設も増えてきました。

日本からきた人が陥るギャップ

日本から海外就職した方にとっては、さらにギャップがあるかもしれません。

なぜなら日本人は日系企業に勤務することが多く、日系企業では、とくに経営者と労働者の間にギャップがあるからなんです。

日本から進出してくるような企業の経営者に取材すると、大抵バリバリと日本で成功した方が多く、「もう日本の伸び率は限定的です。だからアジアに進出するんです!」とおっしゃるのです。
「日本風の経営の良さを海外に教えたい」「我が社をアジアのトップにしたい」などと、情熱を持って進出してきます。

ところが、マレーシアで職を探す人を見ていると、むしろ「ゆるい東南アジアでのんびり働きたい」って思っている人が多いようです。

なのに入ってみるとバリバリの日系企業で、ハードワークが待っている……どうしても、この両者ではギャップが生じてしまうんじゃないでしょうか。

「会社員は辛いよ」の人たち

最初のドラマでも見たように、実はマレーシアでも、最近の会社員には長時間勤務の方が少なくありません。

私のいた会社も外国人が経営するスタートアップ企業では、朝始まる時間こそダラダラですが、夜中までの会議が当たり前でした。

高給の幹部たちは、それこそほとんど寝る時間もなく働いてたと思います。

米国資本の会社勤務の友人も、人員が減り仕事が増えて、残業が常態化してるようです。
新聞社勤務の友人は、新聞社の仕事だけじゃ食べていけないからと、屋台でバイトしていました。世界的な有名企業に勤める友人は、お給料は良いそうなのですが、転勤もあり、ハードワークで大変そうです。

世界中どこでも、資本家と労働者の関係は、産業革命の頃から変わらないのかもね、って思います。それに平社員は、給与も決して高くないです。だからマレーシアで「会社員やってます」というと、あんまり羨ましがられないです。

気軽に起業する人々

むしろ若い人たちに聞くと、「起業したい」「投資家になりたい」と夢を語る人が多いです。私の家の近所のコワーキング・スペースにはこんな起業家志望の方が集まっています。

若い人だけではなく、主婦や会社員の方も、割とライトにビジネスを始めます。不動産や株式などの投資も盛んで、よくジムでも話題に上ります。年齢も、20代から60代までさまざまです。「こんなに簡単に始めちゃって大丈夫?」ってくらいライトに始める方もいます。

会社員だと時間が自由にならず、給料も低く、いつまで経っても労働から解放されることがないイメージです。そのため、起業家や投資家に憧れる人が多いのだと思います。

ある華人の友人は、本業の傍ら、Wheatgrassと呼ばれる草を育てる工場を借り、自分のブランドの健康食品を作り、出荷するビジネスを始めました。
マレー系の友達は「パン屋をやる」と言い出して、半年後に本当に出店してしまいました。インド系の友人は、副業で保険の販売をはじめ、ジムのみんなに売ってました。さらに別の華人の方は、韓国で見つけた「たわし」に惚れ込み、工場で生産し、マレーシアのスーパーマーケットに売る副業を始めていました。
ジムに勤務してたトレーナーが独立して、自分のジムを作るのも珍しくありません。投資業とトレーナー業、不動産業と保険業など、二足の草鞋をはくかたもいます。

こんなふうにマレーシアにいると、スモールビジネスを始めた人たちから「私は今こんなビジネスを始めたから、買ってね! 応援してね!」って言われることも多いんです。

もちろん、失敗することも多々あるのですが、そんなことは気にせずにどんどん挑戦していく。大家族で住む人もまだまだ多いので、ある程度の失敗のバックアップになっているのではないでしょうか。

どんどん挑戦する人たちを見ていると、「私もカッコ付けてないで、頑張らないとなぁ」と思います。

前の話へ / 連載TOPへ / 次の話へ

Photo by Ryoji Iwata on Unsplash


野本響子さんのnoteでは、このような記事を多数配信中です! ぜひご覧ください。

この連載について

初回を読む
怒らない力—マレーシアで教わったこと

野本響子

編集者・ライターの野本響子さんがマレーシアで暮らし始めて感じたのは、日本にくらべて驚くほど寛容なマレーシアの社会。「迷惑は掛け合うのが当たり前」「怒る人ほど損をする」など、日本の常識からしたら驚くことばかり。 この連載では、そんなマレ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

sakeganai 経済成長した分、長時間労働とか増えて、うつ病も増加、、 経済が豊かになる事が、人が幸せになる事にならないって話し 6日前 replyretweetfavorite