森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る—絵に入り込む変幻自在の芸術家

ゴッホ、レンブラントといった有名画家になりきったり、モナ・リザをはじめとして西洋名画を再現したりしたセルフ・ポートレイトを発表して、世界的評価を得ている芸術家・森村泰昌。自分の身体をめいっぱい使って芸術を「乗っ取ってきた」森村が次に挑戦したのは……? 観ているこちらも作品世界に迷い込んだような気持ちになる、不思議な展示のご紹介です。

 今回は東京銀座、資生堂ギャラリーでの展示をぜひご紹介いたしたく思います。華やかな銀座通りに面して、赤レンガ風の外観を持つ資生堂ビルはあります。上階には資生堂パーラーなど老舗レストランが入って、落ち着いたいい雰囲気。その地階へ降りていくと、ギャラリースペースが広がっています。現在開かれているのは、「森村泰昌展 ベラスケス しょう :侍女たちは夜に甦る」です。

 森村泰昌は、1980年代から第一線で活躍し続ける現代美術家です。ゴッホの自画像の顔面部分を自身の顔に置きかえたりする、変身的自画像作品でよく知られます。
 国内外の名作を、自分の身体でいわば「乗っ取ってきた」森村が、このたび目をつけたのは、スペインの巨匠ディエゴ・ベラスケス。彼の代表作『ラス・メニーナス』を題材に、連作をつくりあげたのです。
 『ラス・メニーナス』は、スペイン王家の日常のひとコマを絵にしたものです。多くの侍女にかしずかれた王女が、画家のモデルになっている様子を絵にしています。絵を描いている画家自身が、絵の中に描き込まれている、そんな複雑な画面構成になっており、これは鏡を用いたレトリックが駆使されているとの解釈がよくなされています。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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