わかりやすい伝え方の法則 【第13回】 わかりやすい文章を書くためにやってはいけないことは?

前回に引き続き、わかりやすい文章を書くためのポイントを解説します。今回は<「やってはいけない」編>です。こんな文章はわかりづらい! こんな文章を書くと伝わらない! 読みづらい! です。

前回に引き続き、わかりやすい文章を書くためのポイントを解説します。
今回は<「やってはいけない」編>です。こんな文章はわかりづらい!こんな文章を書くと伝わらない! 読みづらい! です。

注意すべきポイントは、大きく分けて【文章構造】と【単語】の2つあります。
文章の構造がわかりづらいと、読み手に伝わりません。そして、文章の構造がわかりやすくても、単語がわかりづらいと、読み手に伝わりません。両方に注意を払う必要があるんです。

ポイント1) 順接の「が」、テーマだしの「は」を使ってはいけない!

まずは、文章構造についてです。
文章の中に一度は出てくる助詞の「が」と「は」も、使い方しだいで文章をわかりにくいものにしてしまいます。

次の2つの文章をご覧ください。

A .紙は木が原料となっていますが、現代の生活には欠かせないものです。
B .今年の異常気象による被害は、政府は特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしている。

Aの文章に使われている「が」は、接続助詞です。

ふつう、文章に「が」が出てくると、逆説を思い浮かべますね。「私の家族は全員お節料理が好きだが、私は嫌い」「兄は足が速いが、弟は速くない」というように、前半と後半で逆の内容の文章をつなぐときに「が」が使われます。

でも、接続助詞の「が」はそうではありません。「そして」や「また」と同じような用法(順接)で使われます。このような使われ方は意外と多くありますが、一文の前後が逆説でつながれているのか、順接でつながれているのかわからなくなり、読む方は混乱してしまいます。

この「が」を使わずに、前半と後半で文章を区切った方が、わかりやすい表現になります。

【改善案】
A .紙は木が原料となっています。また、現代の生活には欠かせないものです。

Bの文章の「は」も同じです。説明者は、「これから●●について話をします」というつもりで「は」を使っています。ワンクッションおいて話を切り出しているんですね。でも、読む方は、主語が「被害」と「政府」の2つあるようにも思え、混乱してしまうのです。

また、日本語では、主語が省略されるケースも多いので、「テーマ出しの『は』」の部分が主語に見えてしまうこともあります。

たとえば、Bを少し変えた、次の文章です。

今年の異常気象による被害は、特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしている。

これでは、まるで「異常気象による被害」が主語のように見えてしまいます。でも、「異常気象による被害が、調査している」では、全く意味が通りません。
このようなときには、「は」を使わず、文章を分けて、最初の文章でテーマ出しをします。

【改善案】
次は、異常気象の被害についてです。政府は特に農業や漁業分野への影響を懸念し、調査をしています。

とすれば、内容が伝わりやすく、また文章もすっきりします。

ポイント2) 二重否定を使ってはいけない!

人間の頭は、否定形をイメージできないようです。たとえば、「走る」という動作はすぐにイメージできますが、「走らない」という動作はすぐにはイメージできません。「走らない」と言われて思い浮かべるのは、「歩いている」か「立ち止まっている」状態でしょう。でも、それは「走らない」状態ではありませんね。

たとえば「食べる」「寝る」「でんぐり返しをする」もすべて「走らない」に該当します。つまり、「○○しない」という動作はないんです。そのため、「○○しない」という動作は、イメージしにくいわけです。

否定形を使うと、ただでさえイメージしにくいのに、「二重否定」となると、もっとイメージしにくくなります。

A .男性が女性用の洋服を着ないとも限らない
B .正月に、カレーライスを食べることもないことはない

いかがでしょう? どちらもすぐにはイメージしにくいですね。

このように文章を複雑に見せる二重否定ですが、元をただせば、一度「裏」にひっくり返したものを、さらにもう一回ひっくり返しているだけで、結局「表」をあらわしています。であれば、最初から否定形を使わず、肯定形で説明をすればいいだけです。

【改善案】
A. 男性でも、女性用の洋服を着るかもしれない
B
 正月に、カレーライスを食べることがある

ポイント3) 主格の「の」を使ってはいけない!

日本語の「の」には、いろいろな使い方があります。「私の机」「彼の主張」のように、「所有」をあらわす「の」の他に、

私の行った場所には、雪が降っていた

など、「主格」の「の」があります。
しかし、「の」は所有格のイメージが強いため、主格として使っていても所有格として捉えられがちです。だから、「の」が「主格」で使われると、混乱を招き、文章を理解しづらくしてしまうのです。

この場合、「の」を「は」や「が」に置き換えるだけで、文章が非常にすっきりします。

【改善案】 私が行った場所には、雪が降っていた

これは比較的単純な例です。このくらいの文章だったら、「の」のままでも理解できるでしょう。でも次はどうでしょうか?

彼の買ったのは、彼女の先日買ったのと同じだった

さっと読んだだけでは、わかりづらいと感じますよね。所有格の「の」と主格の「の」が一文の中に混在しているからです。そこで、主格の「の」を「が」に変えるだけで、非常にわかりやすくなります。

【改善案】 彼が買ったのは、彼女が先日買ったのと同じだった

人は「の」を見ると、どうしても「所有」をイメージしがちです。明らかに主語の一部であったとしても、すんなり意味を理解してもらえるわけではありません。主格の「の」は、簡単に「は」や「が」に言い換えることができるので、「主語に『の』は使わない」という意識を徹底してください。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

現代ビジネス

この連載について

初回を読む
木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません