こんにちは。
マレーシアの社会や教育について話していると、「日本の教育ももっとのびのび自由に変わるといいんですけどね」っておっしゃる方も少なくありません。
マレーシアでは公教育は大変です
ところが、実はのんびりしたイメージとは裏腹に、マレーシアの公立学校はビッチリと詰め込み教育です。
それもおそらく、内情は、日本よりずっと過酷です。
なぜなら、小さい頃から数カ国語を叩き込まれるからです。
のんびりしてるのはインターナショナル・スクールなどですが、マレーシア人向けのインターナショナル・スクールには、しっかり「アジア式」「詰め込み式」の折衷タイプになってるところもあります。
現地の塾や公文式の先生などに取材すると、だいたい「公立学校とインターでは、学習量が倍くらい違う」といいます。
公立学校とはいえ、マレー系、華人、インド系と、民族別にマレー語学校・中国語学校・タミル語学校とややこしいのですが、共通しているのは、シンガポールと同様、小学校6年生でかなりハードな統一試験があり、合格しないと卒業できないってことです。
さらに宗教学校、ブミプトラ制度もあり、一口に言うのは難しいです。
10年以上まえの話、クアラルンプール郊外の華人友人の家の前の道路に、毎晩、夕方になるとズラーっと家庭教師の車が止まっていました。この試験がある意味、子どもの将来を決めてしまうので、遊んでる暇がなかなかないそうです。
幼稚園から数カ国語を学ぶ子供たち
さて、幼児のいる家庭が、転勤などでマレーシアに来られて驚くのは、日本のように「のびのび遊ばせる」園が少ないことです。多言語や算数を小さい頃から学ばせるのはこの国では当たり前なのです。マレーシア人やシンガポール人には複数語が得意な方が多く、それは不思議なほどです。
大体の幼稚園には勉強が必須です。英語・マレー語・中国語の3科目をやらせるところが一般的で、足し算引き算もやります。ドリルなど宿題も出ます。
モンテッソーリ教育をうたう園ですら、中国語や英語、算数のドリルをやらせてたりします。「のびのび遊ばせる」園は一部の欧米系インターなどで学費が高いです。
小学6年生の統一試験のため、小学校入学時に文章が書けるように、という家庭が多いんですね。しかもその試験、多言語に精通していることが必須。
小学校を卒業するだけでも大変です。
例えば、中国語の公立学校なら、中国語、英語、マレー語が必須です。だから、必死で勉強する子が多いんです。
マレー語学校の子たちも英語の他に、アラビア語を履修したりしています。
マレーシアでは、理数系をマレー語で学ぶか英語で学ぶかは常に議論になっていて、教える言語もコロコロ変わっているのが実情です。
そんなわけで、公立学校に行かせる日本人の親は少ないです。英語だけでも大変なのに、さらにマレー語や中国語を学び、それぞれの言語で試験となると、ハードルが高いんです。
だから、小学校での自由時間が日本に比べたら圧倒的に少なく、休み時間がない学校もあります。マレーシアは「忙しくていじめてる暇がない……」と言ってる人もいましたが、それもあるかもしれません。
落第したらどうなるのか
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