第5章 そして僕は希望をつくる vol.1 「自由」と「責任」はセット

刑務所の中で塀の外にいる自由な人間の人生相談を受けていて、堀江さんは気がつきました。「自由とは、心の問題なのだ」、と。誰もが求める自由には重さがある。自由を手に入れるために、大きな責任を引き受けよう、と堀江さんは呼びかけます。 11月5日(火)に発売される堀江貴文さんの書き下ろし単行本『ゼロ——なにもない自分に小さなイチを足していく』の内容を、cakesでいちはやくお届けしていきます。

塀の中で見つけたほんとうの自由

 長野刑務所で過ごした約1年9ヶ月の日々は、僕になにをもたらしたのだろう。
 僕はなにかを学び、少しくらいは成長することができたのだろうか。それともなにも成長しないまま、無益な時間を過ごしてしまったのだろうか。
 いろいろな変化があったのは確かだ。高齢受刑者の介護など、これまでやったことのない仕事に携わることもできたし、たくさんの本を読む時間にも恵まれた。図らずも「獄中ダイエット」にも成功し、あらゆる意味で身軽になった。
 一方、刑務所内でもメルマガの発行を継続するため、毎週手書きで原稿を書いていた。さまざまなビジネスプランを練り、読者からの質問や相談に答えていった。インターネットが使えない分、どうしても情報は紙媒体を中心としたオールドメディアに偏っていく。情報収集にインターネットをフル活用していた僕としては、かなりの痛手だ。それでも、スタッフにブログ記事やツイッター投稿などをプリントアウトしたものを差し入れてもらうことで、情報の偏りをカバーしていった。
 考えてみればおかしなものだ。
 塀の中に閉じ込められ、自由を奪われた僕が、塀の外で自由を謳歌しているはずの一般読者から、仕事や人生の相談を受けていたのだから。
 そして思う。
「みんな塀の中にいるわけでもないのに、どうしてそんな不自由を選ぶんだ?」

 刑務所生活で得た気づき、それは「自由とは、心の問題なのだ」ということである。
 塀の中にいても、僕は自由だった。外に出ることはもちろん、女の子と遊ぶことも、お酒を飲むことも、消灯時間を選ぶことさえできなかったが、僕の頭の中、つまり思考にまでは誰も手を出すことはできない。
 だから僕は、ひたすら考えた。自分のこと、仕事のこと、生きるということ、そして出所後のプラン。思考に没頭している限り、僕は自由だったのだ。
 あなたはいま、自由を実感できているだろうか。
 得体の知れない息苦しさに悩まされていないだろうか。
 自分にはなにもできない、どうせ自分はこんなもんだ、この年齢ではもう遅い—。
 もしもそんな不自由さを感じているとしたら、それは時代や環境のせいではなく、ただ思考が停止しているだけである。あなたは考えることをやめ、「できっこない」と心のフタを閉じているから、自由を実感できないのだ。
 思考に手錠をかけることはできない。
 そして人は考えることをやめたとき、手錠と鍵をかけられる。そう、思考が硬直化したオヤジの完成だ。彼らはもはや考えることができない。考える力を失ってしまったからこそ、カネや権力に執着する。そこで得られるちっぽけな自由にしがみつこうとする。彼らオヤジたちに足りないのは、若さではなく「考える力」、また考えようとする意志そのものなのだ。
 僕はオヤジになりたくない。
 年齢を重ねることが怖いのではなく、思考停止になること、そして自由を奪われることが嫌なのだ。だから僕は考えることをやめないし、働くことをやめない。立ち止まって楽を選んだ瞬間、僕は「堀江貴文」でなくなってしまうだろう。
 あなたは普段、どれくらい考え、どれくらい行動に移しているだろうか。借りてきた言葉を語る、口先だけの人間になっていないだろうか。
 この最終章では、自由について、そして僕の考える「これからの生き方」について話を進めていきたい。

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ゼロ—なにもない自分に小さなイチを足していく

堀江貴文

「誰もがゼロからスタートする。失敗してもゼロに戻るだけで、決してマイナスにはならない。だから一歩を踏み出すことを躊躇せず、前へ進もう」――なぜ堀江貴文さんは、逮捕されてすべてを失っても希望を捨てないのか?  彼の思想のコア部分をつづる...もっと読む

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Singulith 「人は考えることをやめたとき、手錠と鍵をかけられる。そう、思考が硬直化したオヤジの完成だ。彼らはもはや考えることができない。考える力を失ってしまったからこそ、カネや権力に執着する。そこで得られるちっぽけな自由にしがみつこうとする。」 https://t.co/moShQ0VGRa 3年弱前 replyretweetfavorite

typhonics 間違いない。→ 『ネガティブなことを考える人は、ヒマなのだ。 ヒマがあるから、そんなどうでもいいことを考えるのだ。』 3年以上前 replyretweetfavorite

nicomaruru 7つの習慣の第一章にに出てくる男性と同じ! 誰が決めるでもない自分の思考。 3年以上前 replyretweetfavorite

pumipon_s p https://t.co/RnNRXo5k3R 3年以上前 replyretweetfavorite