思い出すと涙が出る
これまで私の妊娠体験を紹介してきましたが、いよいよ大イベントである出産の話に、今回から移っていきます。でも本題にはいるまえに、ちょっと待って欲しいのです。あまりにその体験が強烈だったために、私自身、助走をつけないと書けそうにありません。
先にお伝えしておくと、私の出産は時間がかかったものの、母子ともに無事で命の危険に関わることはありませんでした。それなのに、思い出すだけで、ずーんと気が重たくなって涙がでてしまうほど辛い体験でした。
もちろん、妊娠や出産体験の全ては、個人差があるものです。むしろこれだけ人によって違いがある体験もなかなかないと言い切れるくらいに、身を以て理解できました。
私にとっての妊娠・出産、そしてその直後のできごとは、一言でいえば、体と心がズタボロになる体験でした。
もしかしたら、私のフランスでの出産体験を詳しくこの連載で書きつづっていくことで、「妊娠・出産ってものすごく恐ろしいことなんだ」と怖がらせてしまったり、子どもを持つことをためらわせてしまうかもしれません。
でも私自身、それを知らなかった事で受けたショックの方が大きかったので、もっともっと色々な人の、色々な体験を聞いておきたかった。そうすれば、ここまで想像とリアルのギャップに苦しまなかったぞ、という思いもあるのです。
出産にいたるまで、私は著名な方の出産体験本を2冊読み、ほかにもインターネットでの情報収集、周りの出産体験者4・5人の話を聞いたうえに、妹の出産&産後ケアに一ヶ月つきあいました。それでも、参考になる情報が不足していたと感じたのだから、知りすぎて悪いことはないでしょう。
今回は、これから生々しくて痛々しい出産体験を紹介していく前段階として、一体どんなことが起こったのかをざっとまとめつつ、私の気持ちの準備をさせてもらえればと思います。
エイリアンに寄生されている
出産は「体と心がズタボロ」になるといったけれども、そこにいたる前兆は妊娠した時からじわじわと感じていました。
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