新神戸駅そばの滝
JR新神戸駅のすぐ裏手から始まるハイキングコースがある。急な坂道を進み、その先の長い石段を頑張って登っていくと「布引の滝」が現れる。正確には、「布引の滝」という名は4つの滝の総称で、一番大きいのが高さ43メートルの「雄滝(おんたき)」。見上げるとなかなかの迫力である。
その「雄滝」の脇、さらに山の上へと続く石段を登った先に「布引雄滝茶屋」という店がある。「山茶屋」と呼ぶのが的確だろうか。六甲山系を歩く登山客や滝を見に来た観光客向けの食堂兼売店で、ジュースを買ってベンチに腰掛け、ひと休みしていくこともできるし、おでんやラーメンなどの軽食メニューをつまみに瓶ビールや缶チューハイを飲んでゆっくり過ごしていってもいい。
滝を見下ろすことのできる展望カウンターに座って飲むビールが最高にうまい。これだけでもう満足!という感じなのだが、名物の「湯豆腐」がまたすごいのだ。大きな土鍋に、豆腐だけでなく、白菜、ネギ、ちくわ、豚肉、鶏肉、焼き穴子、しめじ、とろろ昆布と様々な具材が入ってすごいボリューム。もはやこれは鍋料理である。当初はシンプルな普通の湯豆腐だったのだが、登山客からのリクエストにこたえていくうちにサービス満点メニューへと進化したという。
店のお母さんはいつも気さくに接客してくださり、ビールを飲んでいるとおつまみの枝豆がふるまわれたりする。大正4年からこの場所で営業を続け、100年以上に渡ってハイカーたちの憩いの場になっている理由がすぐにわかる店だ。息を切らしながら上まで登って来なければならないとはいえ、JRの駅から徒歩20分ほどという便利な立地なので、天気のいい日など、私はふらっと飲みに来る。
この「布引雄滝茶屋」の他にも、六甲山系には登山コースの要所要所に素晴らしい山茶屋が点在しており、それぞれに魅力的。酒も酒のアテも充実していて気持ち良く酔うことができる。
山茶屋の数々
阪急電鉄芦屋川駅から、駅名にもなっている芦屋川に沿って山側へ30分ほど歩いていくと「高座の滝」という滝があるのだが、その手前にある「滝の茶屋」も素晴らしい。店先では登山客向けにお菓子やカップ麺、飲み物などが販売されていて、店内はゆっくり食事をしていく人のためのスペースになっている。
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