神戸山茶屋めぐり「布引雄滝茶屋」「滝の茶屋」「旗振茶屋」「燈籠茶屋」―急こう配を登った先で飲む酒

東京で生まれ育ち、数年前に大阪に転居したライターのスズキナオさんが、大阪をはじめとする味わい深く個性豊かな酒場の数々や酒にまつわるエピソードなどを通じて関西の土地や文化と出会う。『深夜高速バスに100回くらい乗ってわかったこと』も話題の”ウェブライターの真打ち”が満を持して「酒と関西」に向き合います! 今回は神戸へと足を伸ばして、ちょっとした山歩きを楽しみます(毎週水・土更新)

新神戸駅そばの滝

JR新神戸駅のすぐ裏手から始まるハイキングコースがある。急な坂道を進み、その先の長い石段を頑張って登っていくと「布引の滝」が現れる。正確には、「布引の滝」という名は4つの滝の総称で、一番大きいのが高さ43メートルの「雄滝(おんたき)」。見上げるとなかなかの迫力である。

 その「雄滝」の脇、さらに山の上へと続く石段を登った先に「布引雄滝茶屋」という店がある。「山茶屋」と呼ぶのが的確だろうか。六甲山系を歩く登山客や滝を見に来た観光客向けの食堂兼売店で、ジュースを買ってベンチに腰掛け、ひと休みしていくこともできるし、おでんやラーメンなどの軽食メニューをつまみに瓶ビールや缶チューハイを飲んでゆっくり過ごしていってもいい。

 滝を見下ろすことのできる展望カウンターに座って飲むビールが最高にうまい。これだけでもう満足!という感じなのだが、名物の「湯豆腐」がまたすごいのだ。大きな土鍋に、豆腐だけでなく、白菜、ネギ、ちくわ、豚肉、鶏肉、焼き穴子、しめじ、とろろ昆布と様々な具材が入ってすごいボリューム。もはやこれは鍋料理である。当初はシンプルな普通の湯豆腐だったのだが、登山客からのリクエストにこたえていくうちにサービス満点メニューへと進化したという。

 店のお母さんはいつも気さくに接客してくださり、ビールを飲んでいるとおつまみの枝豆がふるまわれたりする。大正4年からこの場所で営業を続け、100年以上に渡ってハイカーたちの憩いの場になっている理由がすぐにわかる店だ。息を切らしながら上まで登って来なければならないとはいえ、JRの駅から徒歩20分ほどという便利な立地なので、天気のいい日など、私はふらっと飲みに来る。

 この「布引雄滝茶屋」の他にも、六甲山系には登山コースの要所要所に素晴らしい山茶屋が点在しており、それぞれに魅力的。酒も酒のアテも充実していて気持ち良く酔うことができる。

山茶屋の数々

 阪急電鉄芦屋川駅から、駅名にもなっている芦屋川に沿って山側へ30分ほど歩いていくと「高座の滝」という滝があるのだが、その手前にある「滝の茶屋」も素晴らしい。店先では登山客向けにお菓子やカップ麺、飲み物などが販売されていて、店内はゆっくり食事をしていく人のためのスペースになっている。

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関西酒場のろのろ日記

スズキナオ

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Shukuba_Bob 神戸の茶屋 https://t.co/DAPdIgnyf4 26日前 replyretweetfavorite