梅田・「新梅田食道街」―大阪駅に一番近い“街”で飲む酒

東京で生まれ育ち、数年前に大阪に転居したライターのスズキナオさんが、大阪をはじめとする味わい深く個性豊かな酒場の数々や酒にまつわるエピソードなどを通じて関西の土地や文化と出会う。『深夜高速バスに100回くらい乗ってわかったこと』も話題の”ウェブライターの真打ち”が満を持して「酒と関西」に向き合います! 今回は常連と一見が共存する”街”の話。(毎週水・土更新)

梅田でお酒を飲むときには……?

梅田で友人をお酒を飲むことになった時、さてどうしようかと困る。駅から少し離れたエリアまで歩いていけばお店はいくらでもあるのだが、そこに行くのに人ごみを抜けて歩いていかなければならないのが面倒だ。梅田の駅前は歩行者に不親切で、横断歩道のない大きな道路を向こう側へ渡るのに歩道橋を上り下りしたり迂回したり、行きたい方向にズンズン進んでいけないもどかしさがある。

 そこで私の頭に浮かぶ選択肢は、大阪駅前ビル方面まで地下通路を歩き、居酒屋がたくさん並ぶ地下1階、地下2階フロアから気分に合う店を探すか、いっそ中津方面まで足を延ばすか、タイミングとメンツによっては、大阪駅の上階にある「風の広場」で飲む手もあるな。そして、そこにもう一つ加わるのが「新梅田食道街」である。

 「新梅田食道街」は、JR大阪駅から阪急デパート方面へ歩いていった先にある高架下の飲食店街だ。1950年、当時の国鉄関係者の退職後の救済事業として開業したという。開業当初は20店舗ほどの飲食店が並ぶ割と小さな一角だったそうだが、戦後の経済発展によって大阪駅の利用客が急増していったこと、1970年の大阪万博の開催で日本各地から多数の観光客が押し寄せたことなどもあり、その規模はどんどん大きくなった。今では敷地内に100店舗以上もの飲食店がひしめきあっている。

 敷地の周囲は、買い物客やJRや私鉄各線を利用する人々が絶えずせわしくなく往来しているような雰囲気なのだが、そこから一歩「新梅田食道街」に入り込むと空気は一変。細い通路に面して様々なジャンルの飲食店があらわれ、キョロキョロしながら歩いているとどっちから来たのかすぐにわからなくなってしまう。食の迷路みたいな場所なのだ。

安くてきちんと美味しい「奴」

 「酒・毎日」という素晴らしい名の立ち飲み屋、「北海」という渋い雰囲気のウイスキーバー、「エッグベーカー」という専用の器で玉子を焼き上げて食べる「エッグ」が名物メニューの老舗「北京」など、歩いていると気になる店がたくさんあるのだが、その中でもふらっと気軽に入れるのが「奴」という店。

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関西酒場のろのろ日記

スズキナオ

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chiruko_t 何回行っても迷う← 27日前 replyretweetfavorite