マレーシアのインターナショナル・スクールに子供を入れてみて、気づいたこと。それは、評価軸が全然違うことです。
「静かに授業を聞いている」だけの生徒は「積極性が足りません」「もっと授業に参加してください」と言われることがあるのです。
日本の小学校で、授業を静かに聞いている生徒が問題になることは、まずありません。そして「習ってないことを質問してはいけない」のが当たり前でした。
ところがここでは、逆に「発言したり質問する」生徒が「授業に参加していて素晴らしい」と褒められるのです。長男は、なんでも質問ばかりするタイプだったので、ずいぶん救われました。
宿題をやらない理由を説明できるか?
「自分の言葉で自分の意思をきちんと伝えられること」が評価されることも多いです。
例えば、息子は宿題をちっともやらないのです。ある日、先生から呼び出しがあり、彼は「僕はどうしても宿題をやりたくない。一度やればわかることを繰り返したくない」と先生に主張したそうです。すると先生に「お前の理屈はよくわかった。では今後はやらなくてよろしい」と言われたそうです。「ちゃんと理屈が通っている」と。
これには親の私も仰天しました。
もちろん、先生によっては「宿題をやってくること」を厳しく評価する先生もいるのです。別の先生からは、宿題をやっていかないことに対し「やらなければ、この宿題は明日2枚、明後日4枚、明々後日16枚と増えていきます」と宣言されて、根負けしてやったそうです。「二次関数の恐ろしさを身をもって体験した」と言ってました。
そんな状態だった彼が「あなたはリーダー向きだ」とか言われて、先生からクラス代表に選ばれたと聞いたときは、再度驚きました。日本で、宿題もやってこない子をリーダーにしようという先生は少ないのではないでしょうか。
あとで聞いたら、反対した先生もいたとのこと。先生によって評価も変わります。
はちゃめちゃなところもある学校
こんな感じですから、授業中はずいぶんとうるさいこともあるようです。
そして、なかには破茶滅茶な学校もあるのです。
最初に個人面談に行ったら「息子さん、授業中に歌ってます」と言われて驚きました。「そんなのダメでしょう?」って聞いたら、「いいんですよ。みんな彼の歌う歌が大好きですよ」というので、さらに驚きました。
その後転校し、2番目の小学校でも、恐る恐る「先生、今も息子は授業中歌ってますか?」と聞いたら、「最近では歌ってるだけじゃなくて、踊ってますよ」と言われて、再度びっくりしました。「いいんですか?」って聞いたら、「みんなリクエストして楽しんでるから良いんですよ」と気にもしない風です。
聞いたら、彼だけではなく、ジョークを言いまくる子、授業中にご飯食べてる子、歩いてる子、いろいろいるそうです(そういえば、授業中にバナナを食べてる先生もいました)。親の私がいうのもなんですが、どうやって授業が成立してるんでしょうか?
日本でだったら学級崩壊ですよね。
こんなのがなぜ許されるのか、今でもよくわかりません。
でもですね、先生の方もたいがいで、おふざけがあったりします。
学校の朝礼で突然銃声がなって、先生が倒れたことがあるそうです。
そして「T先生が死にました!」とアナウンス。
これ、先生たちのおふざけなんだそうで、その後、朝礼の「死亡現場」にはテープが張り巡らされ、「殺人犯人」を探して全校生徒が指紋とったり、証拠を集めたり、聞き取りしたりしたんだそうです。
もちろん、厳しい先生は大変厳しく、いまだにケーンと呼ばれる棒で引っ叩くような先生もいます。息子が敬愛する先生は学校で一番怖い先生でした。
いろんな先生がいるのですが、息子によれば、一番違うのは、どの学校も生徒たちのクリティカル・シンキングを育てる——という目的があるってところ。
従来の教育だと「知識があること」が一番重要です。けど、新しい教育では「知識があること」だけではなく、「その知識を疑えること」「さらに疑問を持てること」がさらに重要になります。
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