前回は、どうしてフランスの妊婦さんはお腹が目立つ服を着ているんだろう?ということについて、私の体験を通し考えてみました。
今回は、フランスで「マタニティー・クラス」とよばれる出産・産後に関する勉強会に参加したとき出くわした、日本ではなかなか見られないだろうな、と思った光景や体験を紹介してみます。
日仏で、妊娠・出産はこんなに違う
そもそもフランスでは、妊娠してから出産にいたるまでのシステムや方法が、日本とはかなり違います。まず、日本では最初から最後まで同じ産院の同じ先生に診てもらえますが、フランスではそうはいきません。フランスの病院は、基本、分娩や緊急時に利用する場所です。
他のこと、例えば日本では通院のたびにするエコー検査は、フランスの場合は病院ではなく、エコーを専門にする場所で行います。しかも、妊娠から出産まで計3回程度しか行いません。また赤ちゃんの心音検査は、助産師のいる「キャビネ」といわれる診察室でするのが一般的です。それぞれの検査が、専門家ごとに分かれているわけです。
ちなみにキャビネは、診察室といってもごく普通のアパートの一室なので、最初は違和感がありました。しかも、私が通ったのはエレベーターがない建物の4階にあったので、大きなお腹で階段を上るのがなかなか大変だった記憶があります。
また、日本でのマタニティー・クラスは自治体や産院が主催しているようですが、それもこのキャビネで行いました。
同性カップルでの参加も
私の助産師は、20代後半のお姉さんで、物言いがストレートな人。クラスは全部で5回程度。内容は、分娩の種類(無痛、自然、自宅など)や、その詳細。赤ちゃんのお世話に関することなど。助産師と小さなホワイトボードを参加者が囲み、質問も交えながらすすむ和やかな雰囲気のものでした。
クラスの内容でとても印象的だったのは、やはりクライマックスである「分娩」についてです。フランスでは無痛分娩が主流ですが、最近では薬を使わないナチュラルさが注目されて、自然分娩を希望する人も前より増えてきているそうです(ちなみに、無痛分娩を選んでも保険でカバーされます。というか、出産時の全費用は基本カバーされます)。
そしてなにより私が興味深く感じたのは、やはり参加しているフランス人たちでした。
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