私はいつもお弁当の「フタ」に悩まされていた。
子どもたちが幼稚園に通うようになってからのことだ。
幼稚園に入ると給食の日とお弁当の日がある。
長男は給食よりもお弁当の方が好きだった。
お弁当をナフキンで包み、カトラリーを入れる。長男はとにかく不器用だったのでナフキンで包むときも開けやすいようにしてあげていた。箸もうまく使えなかったからフォークとスプーンは必須だった。
そのこと自体は特に問題ない。悩まされていたのは長男がお弁当を食べ終えたあとのことだ。そのお弁当のフタに常に悩まされていた。
なぜなら、長男は食べ終わったあと、なぜだかお弁当のフタをしめず、箸やスプーンやフォークをケースにしまわずにカバンに入れてくるのだ。申し訳なさ程度にナフキンでぐちゃぐちゃに包んではある。でもフタは乗っているだけだし、カトラリーはグチャグチャだった。
4歳児男子がカバンに入れて背負ったあとどうなるか目に見えているよね。もうカバンの中でシェイクシェイクだよ。
綺麗に全部食べたときはまだいい。
嫌いなものが残っていたときが一大事で、カバンの中が地獄絵図になっているのだ。
長男は話したいことだけ話す一方通行のおしゃべり魔人で、私の話なんて全然まともに聞いてくれない子だった。「お弁当箱のフタなんでしめてないの?」と聞いても「わかんない!!」と元気よく返ってくるだけだった。
男子だし、子どもってこんなもんなのかな?と諦めの境地で1年を過ごした。
長男が入園した翌年に、次男が年少さんで入園した。2人分のお弁当を作ることになった。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。