コロナにかかった芸能人がお詫びしたり、責められるのを見ることがあります。マレーシアでも、自宅生活を守らずに感染を撒き散らした人が責められることはあれど、「病気にかかった人」がお詫びするケースは少ない気がします。
もちろん、ある程度は気をつけることで感染リスクを下げられると思うのですが、ロックダウンし、クラスター管理しているマレーシアから見ると、その難易度は高いように思えます。どんなに気をつけても、かかってしまう時はかかってしまう。
感染と本人の行いを結びつけるこの傾向は世界中にあるのですが、特に日本が高いという調査結果があります。
この調査は、大阪大学の三浦麻子教授らの研究グループが3月~4月に、日本、アメリカ、イギリス、イタリア、中国の5カ国、それぞれ400人~500人の一般市民を対象に行った。
調査項目は、「新型コロナウイルスに感染した人がいたとしたら、それは本人のせいだと思う」、「新型コロナウイルスに感染する人は、自業自得だと思う」の2つ。
それぞれの質問に「1.まったくそう思わない」「2.あまりそう思わない」「3.どちらかといえばそう思わない」「4.どちらかといえばそう思う」「5.ややそう思う」「6.非常にそう思う」の6つから選ぶというもの。
「新型コロナウイルスに感染した人がいたとしたら、それは本人のせいだと思う」との質問に対して、日本では1~3の回答をした人の割合が84.75%、4~6の回答をした人の割合が15.25%との結果になった。一方でアメリカでは、1~3の回答をした人の割合が95.25%、4~6の回答をした人の割合が4.75%と「感染は本人のせいだと思う人」の割合が日本はアメリカの3倍以上となった。
他の国と比較しても4~6の回答をした人の割合が、イギリスは3.48%、イタリアは12.32%、中国は9.46%と日本が「感染は本人のせいだと思う」人の割合が一番高い結果となった。
「日本は「新型コロナ感染は自業自得」と思う割合がアメリカの10倍…理由を大阪大教授に聞いた」より
これに対し、大阪大学の三浦麻子教授は、「理由はわからない」としつつも、
と話しています。そして、一つの可能性として、「公正世界仮説」という説を紹介されています。
「公正世界仮説」とは?
「公正世界仮説」とは社会心理学者のメルビン・ラーナーが提唱した心理的なバイアスで、「世界は公正である」と考える世界観なのだそうです。
これだけみると、とてもいい考えのように思えます。
しかし、問題は、これが行きすぎると努力万能主義が出てくることです。
「なぜ苦しんでいる人をさらに批判するのか?「公正世界仮説」とは」より
これは非常に興味深い。
日本を外から見てて思うのは、「これは誰のせいか」をはっきりさせ、反省させたがる文化が強いということです。一方で、責任を追求し続けていくと、反対に最後はうやむやになっていくことも少なくありません。
実は私もにもこの傾向があり、何か悪いことが起きると、「誰が悪かったの」「何が原因だったの」と知りたくなります。
マレーシアにきたら、例えばレストランで注文ミスがあっても、交通事故があっても、責め立てられたりお詫びしたりなんてなしに終わってしまうこと、少なくありません。注文の仕方が悪いのか、ウエイトレスが聴き間違えたかとか、どうでもよくて「まあいいか」と曖昧に終わる。日本からきたかたが、「お詫びがない」と怒ることもありますが、そのうち慣れてスルーするようになることも。
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