若者の流行を追うのを諦める
どんな人でも漏れなく年をとるので、「若者の間で流行っているもの」を理解できなくなるタイミングがやってくる。どこかの段階で、理解することを素直に諦めなければいけない。それをせずに、自分にはこれが理解できない、という主張ばかり走らせ、ダメだね最近のは、という苦言を漏らすと、その苦言は若者には届かず、若くない人の中だけで意見が揉まれることになる。それは結構虚しい光景なのだが、自分もしょっちゅうその中にいる、という自覚がある。
私は長年、『CDTV』のランキングを見続けており、「このランキングに登場するミュージシャンの過半数を理解できなくなったら、いよいよ諦める時だな」と思ってきたのだが、そもそも若者はこういったランキングと離れたところで自分の好きな音楽を取得しているそうだから、このランキングをバロメーターにする判断自体がもう、若くない人ならではのセンスなのである。
「なんなら夜の信号機でもエモい!」
『めざましテレビ』(4日・フジテレビ系)で、「『映え』はもう古い!? 10代・20代の最新日常語『エモい』のイマドキの使い方を徹底調査」と題した特集が組まれており、インタビューに答えた若者が「何でもエモいよね、最近。なんなら夜の信号機でもエモい!」と答えていた。とっても爆発力のある答えだと思った。特定の感情をピンポイントで表現するのではなく、感情を表す言葉として、使える範囲をどこまでも広げていくのだ。
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